進軍〜自由惑星同盟〜
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づくことはなかった。
だからこそ、しばらく考え。
「敵が味方を無視したとしても、トールハンマーによる被害は少なくなるのだろう。厳しいかもしれんが、無傷でイゼルローンを落とすのは無理じゃないかな」
三艦隊のうち、二艦隊の司令官が了承した。
そして、残る一人はこの作戦の構想を練った司令官だ。
「ならば、この作戦で実行しよう。異論があるものは」
「問題ございません」
総司令官が言葉にすれば、アップルトンが即答する。
全会一致とばかりに拍手が広がる中で、ヤン・ウェンリーが困ったように頬をかき、ワイドボーンがただ一人拍手をしながら、難しい顔で見ていた。
+ + +
「ヤン少佐」
一通りの作戦会議が終了し、帰路となった廊下で、ワイドボーンがヤンに声をかけた。
半ば予想していた声に、ヤンが振り返って、ベレー帽を抑えた。
「どうかしたかい、ワイドボーン少佐」
「それはこちらのセリフだ。言いかけた言葉を、なぜ取りやめた。敵が味方事砲撃した場合、確かに被害はこちらの方が少ないかもしれないが、考えない理由にはならんだろう」
「言っても意味のないことだったからさ。こちらは事前にアップルトン中将に、マクワイルド大尉が情報参謀に進言している。だが、一切触れられなかったというのはそういう事さ」
「決まったことを覆すことはできないか、気に食わんな。だが、考えない理由にはならんぞ」
「考えても意味のないことなのさ。敵が味方事砲撃した場合は、撤退するくらいしかできないからね」
「被害を減らすことくらいできるだろう。我々は常に可能性があることに対して、検討を重ねていかねばならない。そうだろう?」
堂々として言葉にするワイドボーンを見て、ヤンは苦笑した。
人は変われば、変わるものだなと。
「ああ、そうだね。だから、私もその場合のことは考えているよ」
「さすがだな。で、どういう作戦なのだ」
「今聞いたところで意味がない。どのパターンになるかもわからないし――でも、基本となるところはマクワイルド大尉が作ってくれた。楽なものさ」
「マクワイルドが立案して、お前が精査したということか。なるほど、それは心強い、わざわざ上にあげなくても問題ないな。だが、その精査に俺も付き合わせてくれ。これでも少しくらいは役に立つぞ」
「ありがとう、心強いよ」
「当然のことだ。しかし」
と、そこでワイドボーンは不機嫌になったように、唇を曲げた。
精悍な顔立ちに、どこか子供が拗ねた表情が混じる。
「どうかしたか」
「あの馬鹿は一切連絡をよこさない」
「それは仕方ないだろう。尉官は他の分艦隊の方で仕事があるだろうから」
「いくら後方で待機するといっても、通信の一つくらいは可能なはずだ」
「君に連絡したらまた
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