進軍〜自由惑星同盟〜
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なかった。
最悪の事態をわざわざいう必要もないと理解したからだ。
「相当な被害を受けることでしょう。だから」
画面が切り替わる。
新たに映ったのは、先ほど青い点が逃げていくシーンだ。
そこに対して、青い点がついていく。
赤い点と青い点の距離は変わりがない。
そこでイゼルローンから光る白い光が、逃げた左右の赤い点を映していた。
「このように」
ヤンは画面を見ながら、光る線を指でなぞった、
「敵についていくことで、敵が砲撃した際に被害を受けるのは敵の方が多いという形を作り出します。当然のことながら、敵の砲撃は近ければ近いほうが効果は高い。すなわち、この場合に大きな被害を受けるのは、イゼルローン要塞に近い敵艦隊であり、我々は被害を受けたとしても、敵の艦隊が盾になり、ダメージとしては敵艦隊よりも少ないものとなります」
そう言ってから、ヤンは周囲を見渡した。
賛同の意見が多く、ヤンを批判するような視線は向けられることはない。
ビロライネン大佐などは今にも立ち上がって拍手しそうな勢いだ。
それに対して、ヤンは小さく息を吐き、ビュコックを見た。
果たして、これに対して現場の意見はどうだろうと。
ビュコックは決して、周囲と同様に全面的に賛同しているようではなさそうだった。
ただ、考えて、迷い、そして、ヤンを見る。
視線があったのは数秒。
やがて、ゆっくりと頷いた。
それを見てから、ヤンは言葉を続けた。
「もちろん、これは現段階の予想であり、仮に敵が味方を無視して……」
防ぐような拍手の音が響いた。
立ち上がって、拍手をするのは情報参謀の席に着くビロライネンだ。
「素晴らしい。見事な作戦だと、小官は意見します。いかがですか、リバモア少将」
「え。あ、いや。どうかな、小官も良いと思うが。グリーンヒル中将はいかがか」
と、リバモアは艦隊司令官の中で一番無難な立場に投げた。
言葉に、第四艦隊司令官グリーンヒルは悩むように顎を撫でる。
とはいえ、それはあくまでもポーズだ。
そもそもの話、この場にいて、いや違うと言葉にするのは難しい。
この時点で、作戦を実行することは、つまるところ評議会の了承を得ていることを知っているからだ。ここで大きく変えれば、困るのはシトレ大将であることを知っている。
だから。
「……そうですね。確かにこれが最適かと思います。だが、何か疑問が残るのなら今の時点で解消しておいた方がいいと思います。いかがです」
そう言って、周囲を見渡して、手を伸ばそうとしたパトリチェフが、ビロライネンの視線に遮られた。情報参謀として、近くにいたのがわざわいしたのだろう。睨まれれば、渋々ながら発言を取りやめた。
その様子を、ビュコックは気
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