進軍〜自由惑星同盟〜
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った。
総旗艦ヘクトルにて、今回の作戦の主要人員が続々と入室する。
参謀、艦隊司令官、分艦隊司令官。
参謀では各佐官以上という条件が付いているが、それでも総勢で百人近い数だ。
中央に置かれる全方向に映る透過型スクリーンを囲むように、全員が着席した。
中央では主任作戦参謀のアップルトンとヤン・ウェンリーがいる。
最後に入室したシドニー・シトレ大将が着席を見届けて、アップルトン中将が口を開いた。
「お集まりいただいた、各艦隊の皆さん。ここにおられる方は同盟軍でも有数の知能、そして武勇をもって……」
「アップルトン。世辞はいい。早く始めてくれないか。帝国はもとより今回の件は部下に対してもだまし討ちのようなものだ。さっさと聞いて、部下に伝達しなければならん」
切り捨てるような言葉に、ビロライネンが発言の主を見て、顔をしかめた。
アレクサンドル・ビュコック中将。
兵卒から中将まで昇り詰めた同盟軍の宿将。
その人気は現場の人間ではシトレすら上回り、士官学校を卒業していれば、シトレを抜いて、宇宙艦隊司令長官に抜擢されていた可能性もある。だが、本人自身は現場を標榜しており、それが若手の人気と――そして、士官学校を卒業した多くの人間から妬みをもって受け入れられていた。
今回もそうだ。
本来であれば、大切な作戦を決める会議室。この場で発言ができるのはシトレ大将をおいていないが、自分の意見があれば述べることに躊躇はない。
ビロライネンと同時に、多くが嫌な顔を見せたが、本人は素知らぬ顔。
そして、ビュコックに言葉を向ける人間はいなかった。
当のアップルトンは仕方がないなと言わんげにビュコックを見て、苦笑する。
「失礼しました。では、さっそく作戦の概要を。ヤン少佐」
「所属と自己紹介については、省略させていただきまして。作戦案を説明したいと思います」
片手をあげると同時に、中央の透過モニターにイゼルローン要塞が映った。
空気中の塵に対して映像を映す様子は、何もない空間からイゼルローン要塞が映ったように見えるだろう。囲まれた全席からブラックホールに似た黒い要塞の姿が見える。
「これが。イゼルローン要塞です、過去四度の攻略に対して、同盟軍は無力でした。第一回、第二回とトールハンマーを知らず、正面から攻略をかけ」
映る画像は、第二回イゼルローン要塞攻防戦の様子。
第一回の失敗から、単純に艦艇数を増加した結果、同盟軍にも歴史を残す大敗を期した一戦だ。多くの死者を生み出し、結果としてイゼルローン要塞砲の威力を確かめた。
画面の中では、イゼルローン要塞の球体から発光して、その光が同盟軍の方に集約する。
一呼吸。
分厚い光が放射状に広がって、命がけの突貫をかけた同盟軍の艦船を、
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