第4話 前哨戦
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と。少年はその刀を構えた。
────手番は無く、駒の強さも単純ではない。ならば────全てを受けきるまでだ。
少年は一瞬だけ目を閉じ、その一瞬で最大限の集中を引き出し────第2の『 』とまで呼ばれた、シグの顔に変わる。
そして────シグは襲い来る駒の全てを捌き、凌ぎ、反撃した。
飛車角はすぐに落ちた。新しく駒を打つ暇などは与えられない。まさしく孤軍奮闘といえる状況で────だが、シグは耐え続けた。
多数の駒の猛攻、その全てを受けきる動体視力とスタミナ。そして何よりゲーマーとしての意地に、空と白さえ驚嘆する。
「フゥッ……次!!」
だが、その体力も無限ではない。シグの呼吸は荒くなり、徐々に動きが精彩を欠いてきた。そして一度、一際大きな隙を見せる。
────その瞬間を見極めた空が、飛車に自分を運ばせて仕掛けた。
「王同士で決戦か?いいぜ来やがれ空ッ!!」
だがそれでも少年の闘志は尽きず、一直線に空へと刀を振り下ろす。いい加減諦めたくなるような、その戦闘の後で尚も────少年の気炎は、衰えることを知らなかった。
だが、まさに空に刀が届くその時────シグはゲーマーの直感としか言えない何かを感じ、咄嗟に攻撃をやめて防御に移った。
────それと同時、空の後ろの飛車が鋭い剣閃を放った。
空の後ろの飛車が、攻撃すれば無防備になるハズだったシグを狙ったのだ。
指示を出さねば単調な攻撃しかしない飛車がそんな的確な行動をしたという事は────
「既に指示を出していた…つまり俺の動きを読んだってことか」
空が、王である自分を囮にして王を取りに来たと言うことだ。
そう、読まれ、動かされた。先の一瞬では、余裕がなく気づけなかったが────空は御丁寧に、刀すら捨てて待っていた。なるほど、極限状態の自分に丸腰の王を垂らせばまず食いつくだろう。シグは空の一計を、素直に賞賛した。
だが、その一手は防いで見せた。指示を終えて静止した飛車の姿を確認し、シグは今度こそ空へと太刀を浴びせる。
「これで詰みだ、倒れろ『 』────ッ!?」
────だがシグは、ここに来てようやく気づいた。相手は空白────刀などより余程重要な、本当にそこにいるべき者がいない事に。
シグは、既に空の胸を貫いていた。同時に、空の腹を穿った刀がシグの腹を刺した。
そう────相手は|空《・
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