第4話 前哨戦
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兄に疑問の眼を向ける。
当然だろう、なにせ今は絶賛大ピンチ状態。現在攻め込んで来ている駒は角のみだが、シグが突撃に来たという事はすぐに飛車と王も攻めてくる。さらに先程取られた角も撃ち込まれれば、もはや窮地を凌ぐなど────
そう思案する白に、空は不敵に笑った。
「こいつはRTS……俺の分野だろ?任せろ」
────ああ、そうだった、と。
その言葉に、白はもう迷わなかった。兄の領分、己にその意図が読めない以上、兄が正しいのは自明────!!
つい先程その信頼を利用された事など眼中にもないのか、白は空の策に全幅の信頼を寄せた。
────果たして、空の判断はそれに応える結果だっただろうか。王が下す命令は、たった一言────
「総員、玉に向き直れッ!!!!」
────その命令は、酷く単純だった。
────だが、その命令一つで。
『 』の全ての駒が────シグに向き直った。
「────ッ!?」
今度は、シグが驚く番だった。
まさか、将棋に向き直るなどと言う発想、思いもよらなかったのだろう。だが────その命令一つで、敵陣に突っ込んだシグは全ての駒に袋叩きにされる事になった。
────歩は前にしか進めない。本来なら、敵陣の中にいて歩の猛攻を食らうことなど有り得ない。そういった、シグのあらゆる打算を────空は、たった一言で全て覆し返してみせた。
「最初の角の、お返しだ♪ツケは倍にして返してやるよ」
空は、嫌味ったらしい笑みを浮かべる。それは、絶体絶命をも覆し笑う策士の笑みだった。
────自らの一手を完全利用され、ものの見事に出し抜き返された。シグは、それを認めた。
もとよりシグは一筋縄で行くなど妄想はしていなかったが────まさか一手で圧倒し返されるとも、思っていなかった。
(おいおい……さすがに笑うしかないだろ)
少年は、そう畏敬に顔を歪めた。
これが『 』。これが人類最強のゲーマー。これが……俺の求めた敵。
少年は笑った。奇しくも空と同じように────感動した。
だが。なればこそ。それでも勝つ
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