第4話 前哨戦
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にどうしようもなく焦っていた。
────ヤバい。ヤバい、ヤバいヤバいヤバいッ!!
「序盤で『寄せ』だと!?ミスった────!!」
「確、かに……上策」
空と白は、互いに自らの失策を理解し────歯噛みした。
敵陣にいるはずのシグの声が聞こえた────それはつまり、王が『 』の陣地に突撃してきたということに他ならない。
それ自体は不思議ではない。なにせ、空と白も全く同じことをしようとしていたのだから。
だが、シグは『 』と違い足の早い角を初手で切ってきた────棒銀など比にもならない、超速攻を仕掛けてきたのだ。
なるほどそれは最上の策だろう。何故ならこのゲームには手番がない。なら、通常の将棋ではありえないその一手が最善手として力を発揮するのだ。
手番がないこのゲームにおいて、最も効果的なのは相手の抵抗を待たずに速攻で仕留める一手────つまり、このゲームは序盤から終盤なのだ。
それを最初の時点で理解できなかった────『 』が出し抜かれた。
白は将棋のセオリーに縛られて。空は白への信頼に縛られて。
さらに、シグは『 』の体力の無さも考慮したのだろう────それ故に自分が先手を取れると確信して、この一手を敢行したのだ。
全て、全てが計算の上。あまりにあまりな、普通ではない────狂った発想で、シグは一撃で『 』を仕留めにかかったのだ。
相手は魔法のバックアップも受けていないただの人類種。必勝ゲーを提示してもつまらないからと相手の提示した没入将棋に乗った。
だが────今、『 』は自分達と同じ人類種に追い詰められていた。単純な性能差など、他種族を前にすればゼロと言って差し支えないような相手に。他種族をあらゆる手練手管で降してきた『 』が。相手の提示したゲームに乗ったとはいえ。
そう、言うなれば絶体絶命の現状に────空は、白にしか聞こえない声で呟いた。
「…………すげえな」
────そう、心底楽しそうに呟いた。
策士たる空と、スパコンすら超越する白を同時に出し抜いたシグ────そんなとんでもないゲーマーに、空は内心感動すら覚えた。
それが結果として空の動揺を消し去り、思考をクリアにした。
「……にぃ?」
その様子に、珍しく白は
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