第5章:幽世と魔導師
閑話14「足掻き続けて」
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
魔力は無尽蔵ではなく、負担は少なかったものの、常に全員の身体能力を上げ続け、その上で魔法を使い続ける。
そうなれば、さすがのジュエルシードでも魔力が残り少なくなっていた。
「(まだ、やれる……!!)」
ここで倒れては意味がない。
そう断じて、司は立ち上がる。
そして、シュラインから手持ちの魔力結晶を全て取り出す。
「ジュエルシード、取り込んで!」
結晶を全て砕き、その魔力を全てジュエルシードが吸収する。
結晶を作ったのは優輝なため、ジュエルシードの魔力を回復するには心許ない。
だが、ないよりはマシだった。
「(範囲、指定……!魔法の対象外にするのを選んで……!)」
即座に魔法を行使する。
味方を巻き込まないように範囲指定をし、準備を整える。
「ぬ、うっ!?」
「く、ぁあっ!?」
その間にも、悪路王が式姫の猛攻に押され、フェイトと奏が式姫達の攻撃を躱しきれずに防御して大きく弾き飛ばされる。
「ッ……!」
「抑えきれない!」
「このままだと……!」
蓮も防戦一方で、援護射撃だけでは抑えきれなくなる。
全員が一か所に集められ、尚且つ牽制で抑えられない。
そうなれば、一斉に襲い掛かられて一網打尽にされるだけだった。
「間に合った……!」
だが、司はそれを予測していた。
いや、打開の手段をそれに使ったというべきか。
包囲され、追い詰められた皆の中心に司は転移。
魔法を、行使する。
「押し潰して!」
―――“pression”
そして、味方を除いた全てを圧し潰す。
「ッ……!奔れ、極光!」
―――“Evaporation Sanctuary”
重圧により、身動きができない式姫を、極光が包み込む。
その極光の影響を、味方が受けることはなく、周囲の式姫のみに与える。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」
襲い掛かってきた式姫は消し飛ばした。
だが、式姫はまだ残っており、司はもう魔力がなかった。
「ッ……ごめんなさい……!身体強化も、ままならない……!」
崩れ落ちるようにその場に膝をつく司。
同時に、ジュエルシードの光が非常に弱くなった。
「そんな……」
司のその言葉に、アリシアが絶望したように声を漏らす。
何せ、まだ式姫は残っているからだ。
それなのに、戦力の高い司が脱落した。
精神的支柱の一つが崩れたも同然なため、ショックも大きい。
「とにかく、今の内に態勢を……!」
奏がそう言った瞬間。
遠方で、大きな炎が上がる。
「ッッ……!?」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ