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レーヴァティン
第六十三話 天津神の場所でその四

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「自然と言わずとも」
「世界の中にあるな」
「文明というものもまた」
「世界の中にあるな」
「その中に。そのことを踏まえた上で行う」
「それが政だな」
「そうです、人は全ての頂点にあるか」
 大宮司は英雄に問う様にして言った。
「それはです」
「違う、人は小さい」
 英雄はその大宮司に答える様にして言った。
「所詮と言える」
「そうした存在だな」
「はい」
 まさにというのだ。
「小さなものであり」
「世界の中にある」
「世界の頂点に立つでも対立するでもありません」
「そのことを理解し頭に入れてな」
「はい」
 まさにとだ、大宮司は英雄に答えた。
「政を行うべきです」
「その通りだ」
「おわかりですね、既に」
「そうだ、俺はだ」
 まさにとだ、英雄もまた大宮司に答えた。
「そのうえで政を行う」
「お見事です、ではそのお考えを以て」
「政をする時になればな」
「行われて下さい」
「それではな」
「はい、それではですね」
「これから巫女に会わせてもらいたい」
「わかりました」
 大宮司も頷いた、そしてだった。
 彼は一旦一同の前から退出した、そうして一行だけになってだった。英雄は他の面々に対して言った。
「政も聞かれたか」
「はい、政とは何か」
「そのことをですね」
「世界を支配するのではなくな」 
 英雄は良太と謙二に応えて述べた。
「世界の中にあるものとな」
「理解しそのうえで行う」
「そうしたものとですね」
「話をしたがその通りだ」
 まさにとだ、英雄はまた言った。
「人間は小さく世界の中にある」
「幾ら力を持とうとも」
「所詮は人間ですね」
「まさにな。神でも仏でもない」
 そうした超越した存在ではないというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「行っていくものですね」
「俺もそう考えていたが」
「あの大宮司さんもですね」
「その様に考えておられますね」
 二人も英雄に述べた、他の面々は聞いているだけであるがその顔は異論なぞ一切ないというものだった。
「そしてそれはです」
「いいものですね」
「本当にな、人は確かに神や仏にもなれる」
 日本ではこうも考えている、現に織田信長にしても徳川家康にしても神になっているし歴代の天皇陛下も然りだ。
「しかしそうなるまではな」
「はい、人間です」
「所詮は」
「そして神になっても仏になってもな」
 それでもというのだ。
「世界の頂点に立てないのだ」
「はい、原始の高位の神々がおられますし」
「天照大神も偉大な神です」
「そして仏もです」
「阿弥陀如来や釈迦如来がおられるのですから」
「それでどうして偉い、頂点にはいないのだ」
 人間はというのだ。
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