第55話
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の斬撃が無い。
恐る恐る目を見開いていく。
大刀が、自分の首元で止まっている。
寸止めだろうか。いや、ありえない。最後に見た斬り返しは振りぬく勢いだった。
では、幻を見ているのだろうか。嗚呼、幻だ。でなければ、眼前の背に説明がつかない。
「なんとか、間に合ったな……!」
「春蘭様!?」
幻ではなかった! 二度と見ることは叶わないはずの、頼もしい背が目の前にある。
視線を動かすと、寸での所で七星餓狼が大刀を止めている。
「よぉ、遅かったじゃんか」
「こう見えても忙しくてな。なぁに心配はいらん、埋め合わせは――するさッ!」
大剣と大刀。戦場に大きな金属音が響き渡たった。
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