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空に星が輝く様に
316部分:第二十三話 嫉妬と憤怒その十

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第二十三話 嫉妬と憤怒その十

「今も」
「今もって」
「受付の時も助けてもらいましたし」
「だからそういうのもさ」
「いいんですか」
「いちいち気にしなくていいよ」
 月美に微笑んで話す。
「そういうことはさ」
「ですか」
「うん、それよりも」
 陽太郎から言った。
「出ようか、お化け屋敷」
「あっ、そうですね」
 言われてそれに気付いた月美だった。
「出ないといけませんよね」
「そうだよ。早く出ないとね」
「他のお客さん達が迷惑しますから」
「うん、じゃあ出ようか」
「はい」
 月美は陽太郎の言葉に頷いた。そうしてだった。
 陽太郎の左手にそっと寄り添ってだ。また告げた。
「行きましょう」
「うん、じゃあね」
「はい、それで今度は何処に行きます?」
「今度?今度は」
「何処に行きます?それで」
「絵でも観に行く?」
 お化け屋敷を二人で出ながらだ。陽太郎は月美に話した。
「それじゃあ」
「美術部のですね」
「そこはどうかな」
 提案してそれからだった。
「美術部の部室でやってるけれど」
「そうですね。それじゃあそこに」
「行こうか」
「それと陶芸なんかもいいですよね」
「ああ、陶芸部の」
「そこもどうですか?」
 月美も提案したのだった。
「一緒に」
「ああ、いいな」
 陽太郎は真面目な顔で月美のその言葉に頷いた。
「それじゃあそこも行くか」
「はい、それで」
「何か行く場所多いよな」
 陽太郎も微笑んで月美に話した。
「文化祭って」
「全部回るのが大変ですね」
「そうだよな。けれどそれでもな」
「行きます?」
「できる限りそうする?」
「私はその方が」
「俺も。じゃあ決まりだな」
 二人横に並んで話をしてだ。そうして決めたのだった。
 そしてだった。二人で学校の中の様々な場所を歩くのだった。二人はこの文化祭を心から楽しんでいた。二人は幸せの中にいた。
 だがその中でだ。不穏な空気もまた渦巻いていた。幸せは急に変わるものでもある。秋の空と同じ様に。不変のものではないのだ。


第二十三話   完


                2010・9・29

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