第四十五話 二学期になってその九
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「阿波野君はそんなに恰好いい?」
「恰好いいんじゃなくてね」
「可愛い感じよね」
「そうそう、母星本能とかね」
「そういうのがくすぐられる感じよね」
「何処がよ。いい加減過ぎて困ってるのよ」
心からです。
「本当にね」
「その困ってるのがいいんじゃない」
「ちっちはそういうところがわかってないから」
「まだまだなのよね」
「そう、そこで成人して欲しいけれど」
「まだまだなのよね」
「だから何なのよ」
皆の言っていることがわからなくなりました、というか皆うやけににこにことして言うところが謎です。
そしてです、私は皆にまた言いました。
「とにかく。お邪魔虫は去ったし」
「ええ、帰ったわね」
「無事にね」
「そしてまた明日」
「いやあ、いいわね」
「よくないわよ、今只でさえ気が気でないのに」
どうしてそうかといいますと。
「受験勉強で」
「大学受験ね」
「ちっち天大受けるのよね」
「宗教学科よね」
「そう、とにかく実家を継がないといけないから」
教会のことはいつも頭にあります、この天理高校に来たのも将来教会を継ぐ為のことでしたし。
「受験もするから」
「だからお勉強してるのね」
「そうなのね」
「それで気が気でない」
「そうなのね」
「そう、本当にね」
このことがあってです。
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