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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
第二章 対パルス使節団編
第六話 烈剣黒豹
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ところだろう。マヘーンドラにとっては、心利きたる者かもしれんが、俺にとっては獅子身中の虫。…そうだな、原作でのあれはどうかと思ってみたし、ここは一つごねてみるか。
「はっ、嫌だね。何でこんな怪しい奴を!」
「な、何を仰るのです!私は―」
おお、取り乱してる取り乱してる。が、皆までは言わせん。畳み掛けてやる。
「お前、本当に宰相殿の縁者か?屋敷に何度も出入りしていた俺だから宰相殿の親戚は粗方知っているが、お前なんぞ知らんぞ?」
「お、王子。ご存じないかもしれませんが、この者は遠縁のチャンドラの子息で―」
「それも嘘だな!」
「なっ!?」
口を挟んできたマヘーンドラの言葉をバッサリと斬って捨てる。
「記録上、そうなっているのは知っているさ。だが、諜者に調べさせたところ、あの家で男子が生まれ育ったと言う形跡は全く無いと判明している。マヘーンドラ、俺を、諜者の一族を甘く見るなよ?」
「くっ…」
「なあ、マヘーンドラ。これは非公式とは言え、外交使節団なのだ。身元の不確かな者を連れて行く訳にはいかんのだよ。正直に答えてくれないか?こいつは誰の子なんだ?お前なら、よーく知ってるはずだろ?なあ?」
「…は、恥ずかしながら、私の隠し子でございます。この子の母親は我が親戚の家で働いていた女奴隷のインディラと申します…」
「!マヘーンドラ様…それは真の事なのですか!本当に貴方様が…」
「ああ、お前は私の息子じゃ、ジャスワント。妻の手前、隠さざるを得なかったのだ。済まぬ。本当に済まぬな」
「いいえ、その様な事は。私は、私は、嬉しいのです。ずっと貴方様が私の父であったらと思っておりました」
「ジャスワント…」
感動の親子名乗りを邪魔しないよう、俺は小声で兄に、ジャスワントの随行を認める事と、出発を午後からにする旨を伝え、ひっそりと執務室を後にした。ふっ、いい事をした後は気持ちがいいぜ!
とにかくこれで、十六翼将の一人、ジャスワントが仲間に加わった!
◇◇
私、ジャスワントは父親の顔どころか名前すらも知らなかった。その為、幼い頃は父無し子とバカにされ、泣きながら家に帰った事もあった。
「ねえお母さん、ボクにはどうしてお父さんが居ないの?」
そう尋ねると、母は困ったような顔で微笑んだ。
「ごめんね、ジャスワント。本当の事は言えないの。あの方に迷惑がかかるから。だけど、貴方のお父さんは本当に立派な方だったわ。あの方に出会えた事も、貴方が生まれてきてくれた事も、私の人生の大切な宝物なの。だから貴方も、胸を張って生きるのよ。いいわね?」
私は母が父を想い出しているときの幸せそうな顔が本当に大好きだった。
マヘーンドラ様が私を訪ねてきてくれ
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