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オズのガラスの猫
第五幕その十
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「あたしが一番よ」
「奇麗だっていうのね」
「可愛いのは縁がないけれど」
 それでもというのです。
「あたしがこのコーナーでもこの動物園でもね」
「一番奇麗なのね」
「本当に思うわ、あとね」
 さらに言うガラスの猫でした。
「オズの国でもよ」
「一番奇麗なのね」
「このガラスの身体と宝石の脳味噌とハートはね」
「それでそう思ってなのね」
「今ここにいるのよ」
「そしてそのことを誇りに思ってもいるのね」
「心からね、それで今他の子達とお話したけれど」
 さっきまで猫達と色々とお話しました。
「可愛いけれど奇麗じゃないわね」
「奇麗なのはまた別ね」
「奇麗なのはあたしのことを言うのよ」
「じゃああんたは可愛くないのね」
「そう見えるかしら」
 つぎはぎ娘に逆に聞き返しました。
「あたしが」
「そう言われると違うわね」
 それはとです、つぎはぎ娘も思ったことを答えます。
「全く」
「そうでしょ、可愛くはないでしょ」
「その態度は全く可愛い気はないわ」
「あら、態度がなの」
「だって思いきりツンとすましてるからよ」
 だからだというのです。
「気取った仕草で人に親し気にもしないし」
「あたしはそうしたことはしないわ」
「だからね」
「あたしは可愛くはないのね」
「全くね、けれど奇麗なのは確かよ」
「だったらそれでいいわ」
 奇麗ならというのです。
「この身体がね」
「可愛いと言われなくてもいいのね」
「そっちには最初から全く興味もないし」
 それでというのです。
「本当にね」
「どうでもいいのね」
「そうなのよ」
「もうあんたの中では決まってるのね」
「あたしが一番奇麗でね」
 このことは何があっても揺るがなくてです。
「他の子達は可愛いのよ」
「それならいいのね」
「ええ、あと他の誰が一番奇麗って言われても」
「羨まないのね」
「それでどうしたのよ」
 もう何でもないというのです。
「あたしはあたしが一番奇麗って確信してるから」
「もうそれでよね」
「動かないから」
「いいのね」
「そうよ、絶対に不変だから」
 この考えはというのです。
「いいのよ」
「成程ね」
「あたしはあたしでね」
「変わらなくて」
「それでいいの、あとね」
「あと?」
「いや、皆触れ合ってるわね」
 見ればオズマ達もそうで生きもの達も自分達からです。 
 語り掛けてお話をしてそうしてです、楽しい時間を過ごしています。ガラスの猫はその彼等も見て言うのです。
「何かと」
「そうね、あんたと違ってね」
「ああしてお互いにお話するのを楽しむ子達もいるのよね」
「あんたはそういうのはしないけれどね」
「ええ、自分からお話をしたりするのもね」
「あまりしない
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