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空に星が輝く様に
31部分:第三話 入学その七

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第三話 入学その七

「それでいいよな」
「うん。それでこの赤瀬だけれど」
 自分の横にいるその巨大な彼についての話になった。
「一緒の中学校だったんだ」
「その前に同じ学年か!?本当に」
 とてつもなく大柄な彼とあまりにも小柄な彼女を見比べての言葉であった。
「全然思えないんだけれどさ」
「個人差だから」
「いや、真面目にそう返されても」
「真面目でも事実だから」
 そのあまり感情も抑揚も見られない言葉で応える椎名だった。
「だから」
「そうなんだ」
「椎名さんはいい人だよ」
 また上から赤瀬が言ってきた。
「同じクラスでクラス委員同士だったし」
「そうだったんだ。同じクラスでもあったんだ」
 とりあえずその言葉を聞く陽太郎だった。
「成程」
「そうだったの」
「わかってくれたかな」  
 椎名と赤瀬がその彼にまた言ってきた。
「このクラスでも二人でやりたいから」
「宜しく」
「わかったさ。じゃあ俺は」
「何になりたいのかな」
「図書委員がいいな」
 微笑んでそれだというのだった。
「俺図書委員中学の間ずっとやってたからな」
「それでなのね」
「ああ、駄目かな」
「いいと思うわ」
 静かに答える椎名だった。
「それでね」
「ええ。ただ」
「ただ?」
「真剣に御願いするわ」
 真面目にしてくれというのだ。
「図書委員は戦場だから」
「えっ、そうだったのか!?」
「そうよ。戦場よ」
 そうなのだという。これは陽太郎にはかなり意外なことであった。
「だからね」
「何か凄い釈然としないけれどわかったよ」
 そういうことにしたと言ってもよかった。
「じゃあさ。俺図書委員な」
「頑張ってね」
 そんな話をする三人の後ろでだ。狭山と津島がまだ言い合っていた。
「で、御前何したいんだ?」
「厚生委員」
「じゃあ御前一人でやれよ」
 こう津島に返す狭山だった。
「勝手にな。やってろよ」
「そんなの別にいいじゃない」
 しかし津島はこう返すのだった。
「あんたは私が推薦してあげるわよ」
「おい、何でそうなるんだよ」
「いいじゃない。はい、決定」
 強引にそう決める彼女だった。
「決定したから。覆すことできないわよ」
「じゃあ中学の時と同じじゃねえか」
「そうよ、同じよ」
 完全に同じだというのだ。津島はだ。
「わかったらいいわね」
「折角高校に入ったと思ったのによ」
 狭山はまたしても不満な顔を作った。作っただけである。

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