第三章
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「むしろもっと酷い、自分がやるんじゃなくてシステム作って他の連中にやらせてるんだからな」
「だから私が間違っているっていうんですか!」
「ああ、間違ってるよ」
その通りという返事だった。
「はっきり言うがな、御前はずっと姉さんのことを想ってるが」
「とてもいい姉さんでした」
みなみにとってはだ、本当に最高の姉であった。
「頭がよくて優しくて」
「凄くいい人だったんだな」
「その姉さんですから」
「そうだよな、しかしな」
「それでもですか」
「今の御前を見たら姉さんがどう思うか考えてないだろ」
「仇を取ってくれて学園を正しくしてくれて喜んでいます」
「そんな筈ないだろ」
即座にだ、理事長はみなみに返した。
「絶対に」
「どうしてそう言えるんですか」
「御前の今の顔、鏡で見たらわかるさ」
これが理事長の返事だった。
「鬼みたいになってるぞ、まともな人間が自分の妹がそんな顔になっていて嬉しい筈ないだろ」
「鬼ですか」
「そうだよ、歪みきった鬼だよ」
それが今のみなみだと言うのだ。
「その顔、御前自分で見る時があるがな」
「そんな時は来ないです」
「いいや、絶対に来る」
理事長はまた冷たく言い返した。
「そして御前は御前を知るからな」
「その時にですか」
「自分がどれだけ酷くて醜い奴かな、あとな」
会話は完全に理事長のペースになっていた。
「さっき俺は社会に格差は必要だって言ったな」
「はい、確かに」
「それでもな、出来るだけそれは緩やかな方がいいんだよ」
こう言うのだった。
「誰でも普通に上下してな、そして最下層の奴だってそれなりにだよ」
「いじめをしていた連中でも」
「自殺に追い込まない限りは救いがあるべきなんだよ」
これが理事長の言葉だった。
「ましていじめはだよ」
「それはですか」
「御前みたいに報いでやらせても同じだろ」
「違います、あれはそもそも」
「いじめじゃないっていうんだな」
「報いです、自業自得の」
「相手がそう言うと思うか?」
今度はこう言った理事長だった。
「そんな筈ないだろ」
「悪事に報いがあるのは当然です」
「そうか、じゃあ御前も報いがあるからな」
「正しいことをしていてもですか」
「言ったな、正義はすぐに独善になってそこから悪になるんだよ」
「何度も何度も私の言うことを!」
またみなみは怒った、目は完全に吊り上がり完全に鬼のものになっていた。
「許さない、許さない!」
「そうか、じゃあ精々俺も憎め」
理事長はその憎悪を闘牛士の様にかわした。
「御前位じゃ俺に何も出来ないからな」
「この学園の間違いを正せなくてもですか!」
「今から正すさ、御前の誤りを正してな」
スクールカーストの頂点にいる
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