暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 3
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を置いて廊下へと出て行くプリシラ様の後を追い、一度室内に振り返って頭を下げてから、静かに扉を閉める。
 閉じ込められた男性達は、私達の姿が視界から外れてもまだ、呆然としていた。



 「……どうして何も言わなかったんだろう? って顔ね」
 人ひとり擦れ違わない廊下の途中。半歩斜め前を歩くプリシラ様が、前を向いたまま呟いた。
 「やっぱり、隠し切れていませんか」
 「此処に来た当初よりは成長してる。でも、社交界ではまだまだ通用しないわね。アリア様が顕現されている程度で声を上げたのも減点。そうと匂わせる情報は幾らでも入っていたでしょう? 「疑」が「確」になっただけの事で動揺を見せては駄目」
 「気を付けます」
 (いえ、女神顕現の辺りは今でも半信半疑ですけども。)
 見た限り、ロザリアという少女は至って普通の人間だ。白金の髪は珍しいと思うが、それ以外に変わった所は見当たらなかった。寝ている所為かも知れないけど。
 私達から見て、彼女が女神アリアであると認められる根拠は、「施錠してあった室内に突然現れた事」と「リーシェさんの容姿と色彩が人間とは違っている事」、「語られた内容に一応の筋が通っている事」だけ。
 今は本体に戻っているらしい悪魔べゼドラの所在も確認できてないし、肝心なロザリア様が一言も発してないのだ。信じ切るにはまだ「足りない」……、のに。
 プリシラ様は、何故か疑ってない。
 疑おうとすらしていない。
 (お父様が居るから……かな?)
 アルスエルナの第二王子・エルーラン殿下を、プリシラ様は信頼してる。それはきっと、互いが互いの人格と力量を認め合っているから。
 プリシラ様が優位に物事を運んでいるように見えた先程の一幕でも、二人共ちゃんと分を(わきま)えた遣り取りをしていたし、互いの領分に踏み込もうとはしなかった。
 物事の分担は、それぞれの根底に信頼が無ければ成立しない。
 (プリシラ様の領分に関わる話でエルーラン殿下が嘘を吐く筈が無い……か。でもそれじゃ、「私が」彼らを信じるに足る根拠にはならない)
 なにせ私は、自業自得とは言えお父様に騙されまくった経験の持ち主だ。力量は疑いようが無くても、所業を信じるには程遠い。心情的に。
 「ねえ、ミートリッテ」
 「はい」
 「罪人は何故、裁かれなければいけないのかしら」
 「多くの例では、人間種族の保護。その為の規律に反し、被害者への行動を通して社会全体に悪影響を与え、短期或いは長期的に俯瞰した際、種族の存続方法に亀裂・乃至(ないし)欠損を生じさせたと見做されるからです。そうした罪人を罰する行為には、社会の仕組みを改めて理解させ、己の行動が如何に人間種族……罪人自らをも危険に曝していたかを自覚させる狙いがあります」
 「法律的見解ね。貴女個人の主観で
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