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3章 穏やかな日々
21話 将来の旦那さん?Part1
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腐るほどお金があるために、家には帰らず、気に入った層で夕食と睡眠をとることが多かった。



「依頼主のいる34層って、あんまりいい店も宿もなかったな」


「そうだね」



 リアは34層の街並みを思い浮かべ、同意の頷きをする。あそこは本当に何もない。いや、別にけなしているわけではない。自分たちがホームにしている22層だって、同じくらい何もない。



「…ねぇ、ツカサ君。久しぶりに“教会”、行ってこない?最近行ってないよね」

「ああ…いわれてみればしばらく行ってないな。…じゃあ、行くか」

「うん!」



 これからの予定が決定すると、リアは勢いよく立ち上がった。


 













「サーシャさん!リア姉ちゃんたちが来たよ??」



 子供たちがバタバタと家の中に入ってきて、裁縫をしていたサーシャははっと顔を上げた。そして、すぐに2人の人物が教会の中に入ってくる。



「お久しぶりです、サーシャさん」
「どうも」


「リアさん、ツカサさん。お久しぶりです。ようこそいらっしゃいました」


 
 ダークブラウンの長い髪に、灰茶の瞳の少女、長めの黒髪に、同じく漆黒の瞳の青年。強烈な印象と類稀なる端麗さを兼ね備えた、アインクラッド一の美男美女コンビだ。それに加え、剣の腕もすさまじい。


「今日はいい肉が入ったので、ぜひ夕食を一緒にと思いまして」

「姉ちゃんまた飯作ってくれんの?」
「おい、肉だって!姉ちゃんが持ってきてくれる奴ならきっとめちゃくちゃうまいぜ!」
「やったぁ!」


 リアの言葉を聞くと、子供たちは一斉に歓声を上げた。そんな光景を見ていると、心がほっと温かくなり、自然と笑みが漏れる。

「それはありがたいお話です。いつもありがとうございます」

「いえいえ、好きでやっているので。…あ、台所借りますね」


 リアはそう言うと、さっそうとした足取りで奥にある台所へと姿を消し、子供たちはまるで金魚の糞のように、リアの後についていった。






 始まりの街にあるこの教会は、12歳以上というSAOの対象年齢を破ってログインしてしまった小さな子供を保護している場所だ。元々上層を目指していた女性プレイヤーが、それをあきらめ、子供を保護し始めたことが始まりだ。ツカサとリアは、現在教会で暮らしている彼らに生活に掛かるすべてのお金を寄付している。はじめは任務のためと思ってやっていたが、今ではこうしてここに訪れることが楽しみの一つになっている。


「サーシャさん、来るのが遅くなってしまってすみません、今月分の生活費です」
「本当にいつもいつもありがとうございます
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