307部分:第二十三話 嫉妬と憤怒その一
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第二十三話 嫉妬と憤怒その一
第二十三話 嫉妬と憤怒
陽太郎は月美と校内デートを楽しんでいた。それを見た周囲は。
「へえ、三組の斉宮と四組の西堀がねえ」
「付き合ってたなんてね」
「意外だよな」
「そうよね」
皆ひそひそと話す。その二人を見てだ。
そしてだ。こんな言葉も出ていた。
「意外?」
「意外なカップリング?」
「ちょっと以上に」
「そうかも」
組み合わせがというのだ。
しかしだ。こんな意見もあった。
「いい感じじゃない?」
「斉宮もあれで格好いいしね」
「西堀さん美人だし」
「美男美女のカップルかな」
「そうかも」
言葉や評価は人それぞれであった。だが悪いものは少なかった。しかし月美はそんな周囲の言葉にだ。顔を真っ赤にさせてしまっていた。
「何か」
「何か?」
「恥ずかしいです」
俯いて陽太郎に言う。二人は今も校内を歩いている。
その廊下でだ。こう言ったのである。
「とても」
「ううん、わかるよそれ」
「わかってくれます?」
「だって俺もだから」
こう言ってであった。
「俺も恥ずかしいしさ」
「陽太郎君もですか」
「いや、普通に恥ずかしいじゃないか」
月美は横目でちらりとその彼の顔を見た。するととであった。その顔もまた、であった。自分と同じように赤くなっているのがわかった。
「それはさ」
「そうなんですね。陽太郎君も」
「ああ、そうさ」
その赤い顔での返答だった。
「恥ずかしいよ」
「愛ちゃん、提案が大胆過ぎます」
「そうだよな。あいつってな」
「けれど」
しかしであった。月美はここでこうも言うのであった。
「楽しいです」
「楽しい?今」
「甘いですし」
この言葉も出て来た。
「気持ちが。甘くなっています」
「甘く?」
「はい、甘くなってます」
そうだというのである。
「とても」
「ううん、実は俺も」
「陽太郎君も?」
「今とても嬉しいんだよな」
赤くなった顔を右斜め上にしての言葉だ。月美は左にいて俯いたままになっているので彼女から視線を外した形になっている。
「こうしてさ」
「私と一緒にいて」
「いや、これまでもデートしてたじゃない」
「はい」
「その時とはまた違った感触でさ」
「そうなんですか」
「何か違うんだよな」
口が波線になっていた。自然とそうなっていた。
「普段と」
「そうですね。普段のデートは行き帰りとかで二人だけですし」
「今も二人だけれど」
「皆が見ているから」
「ううん、秘密にしていたわけじゃなかったけれど」
ただ限られた友達にだけ話していただけだ。陽太郎はそうだった。
だが月美はだ。こう言うのだった。
「けれど
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