Ep9 フェロウズ・リリース
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前の、エルヴァイン・ウィンチェバルを、暗い目をした少年を。自分よりも年上だった彼をあの日、哀れに思ったことを覚えている。そんな彼はリュクシオンの引き起こした「大災厄」を生き延びたみたいだが、どういうわけか心を失っているみたいである。そんな彼を、殺すことなんてできようはずも無い。それもまた、リクシアの嫌う「理不尽」なことだから。
リクシアはフェロンを見た。大丈夫だ、新しい怪我はない、と確認すると、彼女は安堵の息をついた。
その身体が、ゆっくりと倒れていく。
「リア!」
フェロンの緊迫した声。
リクシアの斬られた傷口から血が流れ、辺りを赤黒く染めていく。それでもリクシアはうっすらと微笑み、安心させるようにフェロンに言った。
「大丈夫だよ……フェロン。私は……これくらい」
リクシアはひどく疲弊していた。あんな大きな魔法を使うのは初めてだ。
フェロンの声がボリュームを増す。
「リア! リア! 誰か、医者を! ルードさん、来て!」
その声をぼんやりと聞きながらも、リクシアは小さくつぶやいた。
「私……大丈夫だから……」
そして意識を手放した。
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