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レーヴァティン
第六十二話 伊勢の巫女その九
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「遥かにいいかと」
「唯物、マルクスか」
「マルクス主義なぞは」
「駄目か」
「拙僧は絶対に肯定出来ません」 
 謙二は今度は温和な彼にしては珍しく強い否定を出して語った。
「あの様な考えは」
「宗教家としてか」
「はい、あの考えは人間を最高にして絶対としている様で」
「実は違うか」
「イデオロギーなるものを絶対化しています」
 そうしたものだというのだ。
「それが絶対神であり」
「イデオロギー、共産主義に反するのならな」
「容赦ない粛清を行っていました」
「だからだな」
「拙僧は肯定出来ません。キリスト教も確かに多くの血を流しましたが」
 十字軍や異端審問、そして中南米等への布教の中でだ。
「共産主義はそれ以上でした」
「確かに多くの血が流れたな、ソ連といいな」
「革命の名の下に」
「だからか」
「はい、拙僧は共産主義については」
「肯定出来ないか」
「この世に生まれた最も忌まわしきものです」
 こうまで言うのだった。
「そして無神論もです」
「共産主義的でか」
「いえ、人間を最高のものと置く場合も多いですね」
「人は決して偉くはないか」
「それを忘れた時は」
 謙二は英雄に淡々とした調子で語っていたがその目には明らかに否定の色があった。このことは変わっていなかった。
「人は驕り昂りです」
「そしてだな」
「過ちを犯してしまいます」
 そうなってしまうからだというのだ。
「ですから」
「無神論もか」
「否定しています、それに偶然はです」
「俺達をその都度導いているそれもだな」
「運命、それもです」
 まさにというのだ。
「神仏の導きでなければ」
「説明出来ないな」
「そうしたものに思いますので」
「御前は神仏を肯定していてか」
「御仏に仕えています」
 僧侶として、というのだ。
「そうしています」
「成程な、その偶然だ」
 まさにというのだ。
「運命はだな」
「神仏のお導きですね」
「そうとしか思えない」
 英雄もこう言うのだった。
「だからな」
「神仏はいる」
「俺もそう考えている、実際に人間はだ」
 まさにというのだ。
「ちっぽけなものだ」
「小さいものですね」
「ほんの些細な、な」
 それこそというのだ。
「そんなものだ」
「そうも考えておられますね」
「本当にな、しかしな」
「しかし?」
「神といっても色々だな」
 ここでこうも言った英雄だった。
「仏はともかく神は色々だ」
「仏教では御仏は悟りを開いているので」
 謙二はこのことも話した。
「ですから」
「悪い仏はな」
「いないと言っていいです」
「そうなるな」
「はい、しかし」
「それでも神は違うな」
「神は本当に様々です」
 英雄にこのこ
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