39 夢か現(うつつ)か
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辺りは真っ暗である。だが遠くの方に、幽かな灯りが見える。それは段々近づいてきて、輪郭がはっきりしてきた。それは、…赤ん坊を抱えた私の姿だ。だがよく見ると、瞳の色が違う。…群青色である。それはつまり、私である。
私が抱いている赤ん坊は、同い年くらいの女の子と男の子である。女の子の方は群青色がかった銀髪に、深翠色の瞳。男の子の方は、紫がかった黒髪に、碧翠色の瞳。
どうやら双子は両親の特徴を半分ずつ譲り受けたらしい。
何か言おうと口を開くも、なぜか声が出ることはなかった。ただ口をパクパクさせているだけである。
私もまた、沈黙を貫いたままである。ただ、その瞳には悲しみの色が映っている。
_「 」
彼女が何か言ったが、何も聞こえなかった。私は私に近づいて来たので、私は手を双子に伸ばしたがそれを掴もうとすると、するりと宙を掴むのみ。双子まで一緒になって瞳に悲しみの色を浮かべていた。彼らはまだ赤ん坊なのに、なぜそんな表情をするのだろう。
_「 」
またもや何か、私は言う。そこで目が覚めた。
目を開けると、目の前に晋助の顔があった。大丈夫か?と優しく私に尋ねる。大丈夫、きっと。と言って、起き上がった。
_「今日は、…処刑日?」
暫くの沈黙の後、晋助は渋々と言うように口を開く。
_「あァ、そうだ。だが…こんな状況のお前を、あんな…ところに行かせるわけにはいかない。」
なぜ? と尋ねる。
_「そりゃァおめェ…」
私の手を取って、言葉を続ける。
_「子を宿したお前を、わざわざ死ににいかせるわけにはいかねェさ。」
だからお前は部屋にいろ。とだけ残し、晋助は部屋を去った。晋助が居なくなったのを確認してから、おもむろに起き上がり、机を布団まで持ってきて、その上で書類を整理することにした。ついでなので、トランシーバーで状況も確認しておこう。
***
_「者共、よく見ておけェ!これな謀反人の末路だ!我に仇なすは元老に、元老に仇なすは春雨に仇なすことと同じ。これなる掟を軽んずれば、鉄の軍団も烏合の衆と成り果てる。…神威よ、何か言い残すことはあるか?」
_「それじゃあ、1つだけいいですか?」
_「うんむ。」
_「アホ提督ぅ〜」
_「殺れェェッ!ぶっ殺せェェッ!」
_「まァ待てよォ。阿保提督。ソイツァ、オレに殺らせてくれねェかァ?」
_「ん?」
_「残念ながら、サシの勝負とやらはしてやれなかったが、介錯くらいは務めてやらねェとなァ。」
_「オレが
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