38 座布団は獲りに行くものである。
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しかできない。暫くするとすると、医者がやって来た。
_「零杏殿?」
はい…と応えると、船医が診察をするから、お布団を敷いてください。と言った。
晋助が布団を敷いてくれ、その上に横たわる。医者は私の腕を取ると、脈を見出した。
_「…フム、これはこれは。…零杏殿、そして総督殿。零杏殿は双子を妊娠しておいでです。ご懐妊、誠におめでとうございます。」
_「双子?」
_「…そうか。」
ええ。と医者が続ける。
_「なので先程の症状は、悪阻でした。なので、今のところ妊娠3ヶ月目ほど、と見られるでしょう。くれぐれもお体を大切になさってくださいね。」
では私はこれで、と医者は部屋を去った。
_「零杏…」
晋助が心配そうに背中をさする。
_「それにしても、まさか妊娠していたなんてね。本人でも驚きな話だわ。」
_「だが、腹の子はオレとお前の子だろォ?大丈夫だ。」
_「一体どんな子たちなんでしょうね?産まれてくるのが楽しみですわ。」
母になる、とはどういうことなのか。今はまだイマイチ分からないが、いずれ分かるのだろうか。
だが、私は多重人格を背負っている。そんな私に、母になる権利などあるのだろうか。
_「まァ、とりあえず今日はゆっくり休め。…明日も、…休んどけや。」
_「それは、…できないわ。なぜなら…私は…わ、…たしは…」
突然目の前が真っ黒になった。
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