暁 〜小説投稿サイト〜
翠碧色の虹
第三十幕:迷う心の虹
[5/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
・・それよりも、天美さんに感潜られる可能性が高い。

七夏「でも、ここちゃーが浴衣を着てお祭りは懐かしいなーって」
心桜「そだねー。小学生の時以来かなぁ」
七夏「私、とっても楽しみです☆」

二人は浴衣の話しをしているようだ。再び窓の外を眺める。景色は次第に山の色から都会の色へと変わってゆく。次いで列車は減速を始めた。

心桜「あ、そろそろかな」
七夏「はい☆」
心桜「お兄さん!」
時崎「え!?」
心桜「もうすぐ降りる駅に着くよ!」
時崎「あ、ああ」
七夏「くすっ☆」

天美さんを追いかけるように車内放送が後に続く。七夏ちゃんも天美さんに続く。
車窓の景色が止まり、列車の扉が開く。

心桜「よっと!」

天美さんは、少し飛び跳ねるようにホームへ降り、改札へと向かう。そのまま俺と七夏ちゃんも追いかける形で改札を通過する。

心桜「えーっと、笹夜先輩は・・・」
笹夜「心桜さん!」
心桜「うわっ!」
笹夜「そんなに驚かなくても・・・」
心桜「いや、柱の影から声掛けられると驚きますって!」
笹夜「すみません」
七夏「笹夜先輩! こんにちはです☆」
時崎「高月さん! こんにちは!」
笹夜「こんにちは♪」

俺は少し不思議に思った。高月さんは、皆んなが列車から降りて来る事を知っているはずだけど、改札からは見えない柱の影に隠れていた事・・・まさか、天美さんを驚かす為だったとか・・・いや、少なくとも俺の知っている高月さんは、そんな事をする性格ではない。

心桜「あはは! こんちわー! 笹夜先輩!」
笹夜「はい♪ こんにちは♪ 心桜さん ♪」
心桜「ところで、笹夜先輩、なんで柱の影に隠れてたんですか!?」

どうやら、天美さんも俺と同じ疑問を抱いたようだ。

笹夜「え!? それはその・・・」
心桜「まさか、あたしたちを驚かす為とか!?」
笹夜「いえ、そんなつもりは・・・」
七夏「ここちゃー」
時崎「高月さん、何かあったの?」
笹夜「すみません、先程まではこちら側で待っていたのですけど、降りて来る人の邪魔になっているかと思って・・・」

降りる人の邪魔に・・・そんなに通路が狭いように思わないけど。

時崎「どうしてそう思ったの?」
笹夜「通ってゆく人の多くが、私を見ている気がして、それで邪魔になっていると思って・・・」
心桜「なるほどねー。でも、それは笹夜先輩に別の要素があるからじゃない!?」
笹夜「え!?」

俺が思った事を天美さんに先越された。高月さんは「降りる人の邪魔になる」と話していたけど、人目を惹く容姿だという点も要因なのではないだろか? 人から見られていると思う心は、自然と人を避ける行動に繋がる可能性はある。

七夏「笹夜先輩! 今日はありがとうです☆」
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ