第51話 行動開始
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兵にとっては見慣れた景色だったからだ。
「ギリアス・オズボーン……彼は非常に優秀な人物だ、エレボニア帝国が更なる発展を迎えられたのは間違いなく彼がいたからだろう。だが彼のやり方は少し強引なところもある、力で屈服させて涙を流した人間も多数いるはずだ」
「そういう話はよく聞くね」
オリビエさんの話にフィーが頷いた、確かにそういう黒い話も耳にする事はある。
「無論それが間違っているとは言わない。彼は国を守る立場にある、だから非情になることも必要とされるのは理解できる。でも力のみで人を抑え込もうとすればいつか必ずそれが爆発する」
「それは……確かに今は良くてもいずれ我慢の限界が来てしまう人もいます。現にテロリストも存在しますから」
カルバート共和国程ではないが、エレボニア帝国にも鉄血宰相を亡き者にしようとてテロ活動を行った人達はいる。西風の旅団も昔、帝国政府からの依頼で過激派テロリストが拠点の一つにしていた場所を襲撃したことがある。
「僕がこの国に来た本当の目的、それはカシウス・ブライトと接触する事だった」
「カシウスさんですか?」
ここでカシウスさんの名が出てきたか、あの人何処でも話に出てくるなと若干思ってしまった。
「オリビエはカシウスを知っているの?」
「直接会ったことは無いよ、だが彼は百日戦役にてエレボニア帝国の軍を退ける働きをした第一人者だ。その優れた観察眼と常人では思いつかないような作戦を生み出した戦略性を持つまさに英雄と言える人物だね」
「ふむ、それ程までに優れた人物なのか。カシウス・ブライトという御仁は……」
オリビエさんの言葉にラウラは感心するように頷いた。
「僕は力で全てを支配する道以外にも、人が人として手を取り合っていけるやり方もあるんじゃないかと思っていた。だから僕はカシウス殿に会って話を聞きたかったんだ」
「……甘い考えですね」
「ははっ、よく言われるよ」
猟兵の立場で考えればそんなことは不可能だろう。もしそんな方法があるのならばエレボニア帝国とカルバート共和国が争う事もないし二大国家に挟まれた小国が苦しい思いをすることもないだろう。
(でも、嫌いじゃないな。そう言う考えは……)
オリビエさんの考えを聞いた俺は、甘いと言いつつも少しの共感を感じていた。猟兵とはいえ争いばかりが起こる世の中など正直ごめんだ。
「結局カシウス殿と会えなかった僕は、偶然にもクーデターの事を知ってしまった。もしそれが現実になればエレボニア帝国やカルバート共和国が黙っているはずがない、そうなれば今度は百日戦役よりも酷い争いが起こってしまう。少なくともあの男は必ず動くはずだ」
「鉄血宰相、ギリアス・オズボーン……」
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