機動戦士ガンダム
2112話
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とした表情を浮かべ、ガトーの視線がこちらに向けられる。
どうやら、本気でシャアやセイラの事を忘れてしまっていたのだろう。
いやまぁ、サイド3がここまで辿ってきた経歴を考えれば、それはおかしくなかった……のかもしれない。
「ムウ少尉の言いたい事は分かる。だが、先程も言ったが、今までジオン公国を率いてきたのがザビ家なのは間違いのない事実だ」
「結果として、ジオン公国はスペースノイドの故郷とも言えるコロニーを地球に落とすような真似をしたが」
俺の言葉に、ガトーは言葉に詰まる。
実際、コロニー落としというのは、それだけ大きな衝撃をスペースノイド全体に与えたのは間違いない。
ザビ家が……いや、ギレン・ザビが何と理屈を付けようとも、コロニー落としがスペースノイドにとって大きなマイナスとなったのは間違いのない事実なのだ。
ザビ家だけで見れば、プラスになったのかもしれないが。
「連邦との独立戦争、これも本来ならサイド3だけではなく、出来れば他のサイドと共同して行うべきだった。そして何より……開戦に際してサイド1、2、4にNBC兵器……核、生物、科学兵器を使って無差別に虐殺した時点で、ジオンの戦いはもうスペースノイドの戦いではなく、サイド3、ザビ家だけの戦いとなっている」
「それはっ!」
俺の言葉に何かを言おうとしたガトーだったが、結局何も言えずに黙り込む。
ラルやシーマに聞いた話だと、その3つのサイドを攻撃した事によって28億人もの人間が命を落としているらしい。
この数字だって、あくまでも恐らくその程度だろうという事で、実際にはもっと多くなるという可能性は十分にある。
……運が良ければ、少なくなる事もあるんだろうが。
それだけの犠牲を出してしまえば、ジオン公国がスペースノイドの為にと言ったって、それが所詮お題目でしかないというのは明らかだ。
「ガトーの性格は、まだ今日会ったばかりだけど大体理解出来る。だからこそ、聞きたい。お前は誰の為に戦っている? 同胞のスペースノイドを虐殺し、連邦を……いや、地球を支配したいという支配欲にかられて戦うザビ家の私利私欲の為の私兵としてか? それとも、真にスペースノイドの為を思って……そう、お前が何回か口にしていた大義に従って戦うのか? それを決めるのはお前だから、俺からはこれ以上何も言えないが」
「ムウ少尉の言いたい事は分かる。分かるが……現実的な問題として、現在の連邦の支配をそのままにしておく訳にはいかない以上、それに対抗出来るのはジオン公国だけであるのは事実なのだ。選択肢がない以上、これが唯一の選択となる」
よし、掛かった。
憂いを帯びた様子で呟くガトーを見て、俺は笑みを浮かべる。
……もし客観的に今の俺の顔を見る事が出来た者は、恐らくそこに悪魔
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