暁 〜小説投稿サイト〜
妖精の尻尾所属の戦闘民族(旧)
第22話 仲間
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
しの……」

否、自分が謝罪するべきだ。
このような状況に追い込んだ自分が、謝罪されるべきではなく、するべきなんだ。

「話は聞いたけど誰もルーちゃんのせいだなんて思ってないんだよ」

ルーシィと一緒にいることが多かった一人であるレビィは、ルーシィの心境を知って慰めの言葉をかける。
否、本当の言葉を言う。
誰も、貴女を悪く思ってない、と。

「オレ…役に立たなくて…あの…あの…ゴメン……」

違う、違う。
ルーシィは何かを耐えるように震えながら首を横に振る。

「――ルーシィ」

さっき聞いた声、だが能天気さはなく、真剣を含んだ声が自分の名前を呼んだ。

「楽しい事も悲しい事も――全てとまではいかないがある程度は共有できる」

それはルーシィも体験したこと。共に仲間と過ごし、共にクエストに行ったことで分かった。
自分があの家に居た時は、また別な感情ができたことも、入りたかったこのギルドで素敵なことがたくさんあった。
それを、一緒に居た仲間と共有できたこともあった。悲しいことも同じく。

「それがギルドじゃ」

その体験は、ギルドで体験したことでできたことだった。
もしかしたらギルドじゃなくてもあり得たかもしれない、だけどギルドに、このギルド(妖精の尻尾)に入ったことで体験できたこと。


「一人の幸せはみんなの幸せ、一人の怒りはみんなの怒り。――そして一人の涙はみんなの涙」

それは想い合える証拠。
故に、共に居られる。

「自責の念にかられる必要はない。君にはみんなの心が届いてる(ハズ)じゃ」

ルーシィを責める者は居たか?ルーシィに対して憎しむを抱く者は居たか?
いいや、居ない。むしろ自分の為に動いた仲間が居た。

――――仲間を売るくらいなら死んだほうがマシだ!!

決して自分を渡さず、守り、共に居てくれる仲間が居た。
その自分を想う心を、ルーシィは確かに感じ取った。

口に手を当て、堪える。
震えが増していき、目から溢れる涙を堪らえようとする。

仲間の優しさに、さっきまで抱いていた己への罪悪感は完全じゃなくても、少しずつ薄れていく。

マカロフは、それはとても…優しい顔をして言った。

「顔を上げなさい――君は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員なんだから」

自分を想ってくれる人はもうどこにも居ない、そう諦めかけていたルーシィの心に光を灯した。
目に浮かぶ涙は、罪悪感や恐怖で流れてはいない。

その涙から流れる感情を、場にいるギルドメンバーたちが知っている。

「ひっく…あ――」

堪えていた感情を表に出し、泣き声が崩れたギルドの周辺で
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ