第22話 仲間
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しの……」
否、自分が謝罪するべきだ。
このような状況に追い込んだ自分が、謝罪されるべきではなく、するべきなんだ。
「話は聞いたけど誰もルーちゃんのせいだなんて思ってないんだよ」
ルーシィと一緒にいることが多かった一人であるレビィは、ルーシィの心境を知って慰めの言葉をかける。
否、本当の言葉を言う。
誰も、貴女を悪く思ってない、と。
「オレ…役に立たなくて…あの…あの…ゴメン……」
違う、違う。
ルーシィは何かを耐えるように震えながら首を横に振る。
「――ルーシィ」
さっき聞いた声、だが能天気さはなく、真剣を含んだ声が自分の名前を呼んだ。
「楽しい事も悲しい事も――全てとまではいかないがある程度は共有できる」
それはルーシィも体験したこと。共に仲間と過ごし、共にクエストに行ったことで分かった。
自分があの家に居た時は、また別な感情ができたことも、入りたかったこのギルドで素敵なことがたくさんあった。
それを、一緒に居た仲間と共有できたこともあった。悲しいことも同じく。
「それがギルドじゃ」
その体験は、ギルドで体験したことでできたことだった。
もしかしたらギルドじゃなくてもあり得たかもしれない、だけどギルドに、このギルドに入ったことで体験できたこと。
「一人の幸せはみんなの幸せ、一人の怒りはみんなの怒り。――そして一人の涙はみんなの涙」
それは想い合える証拠。
故に、共に居られる。
「自責の念にかられる必要はない。君にはみんなの心が届いてる筈じゃ」
ルーシィを責める者は居たか?ルーシィに対して憎しむを抱く者は居たか?
いいや、居ない。むしろ自分の為に動いた仲間が居た。
――――仲間を売るくらいなら死んだほうがマシだ!!
決して自分を渡さず、守り、共に居てくれる仲間が居た。
その自分を想う心を、ルーシィは確かに感じ取った。
口に手を当て、堪える。
震えが増していき、目から溢れる涙を堪らえようとする。
仲間の優しさに、さっきまで抱いていた己への罪悪感は完全じゃなくても、少しずつ薄れていく。
マカロフは、それはとても…優しい顔をして言った。
「顔を上げなさい――君は妖精の尻尾の一員なんだから」
自分を想ってくれる人はもうどこにも居ない、そう諦めかけていたルーシィの心に光を灯した。
目に浮かぶ涙は、罪悪感や恐怖で流れてはいない。
その涙から流れる感情を、場にいるギルドメンバーたちが知っている。
「ひっく…あ――」
堪えていた感情を表に出し、泣き声が崩れたギルドの周辺で
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