第73話『顕現』
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から」ヴォン
「それなら大丈夫か・・・うん??」
さらっと放たれた一言を、晴登は聞き逃さなかった。同時に、いつの間にか一真の右手に握られている大太刀も見逃さない。
「え、どういうことですか…?」
「そういや言ってなかったな。俺がこの世界に来て手に入れた、お前の風みてぇな異能だ。一応『創剣』って呼んでる」
「でもそんなこと一言も・・・」
「ははっ、最近使わないもんだから忘れちまってたわ。ちなみにこの刀が一番のお気に入り」
手に持つ大太刀を見ながら一真は言った。まさか、彼も晴登達と同様に魔術が使えたとは。ここに来て、予想外のカミングアウトである。あの身体能力も相まって、イグニスとどっちが化け物か区別がつかなくなりそうだ。
その一方で、晴登達はあることに感づく。
「一真さん、率直に言わせて下さい。一真さんが抑止力の理由って、その能力と関係が有るんじゃないんですか?」
決して証拠はないが、なぜか確信は持てた。むしろ、それ以外に理由が見当たらないのだ。彼の魔術こそが、唯一の竜を打倒する術なのである。
ただ、さすがに一真もそれくらいは気づいているだろう。その上で迷っているということは・・・やはり彼は目覚めていないということか。
しかし、この仮説に対する一真の反応は何とも拍子抜けするものだった。
「あ・・・考えたことなかった」
「「えぇっ!?」」
盲点だったと言わんばかりの一真の様子に、思わず晴登達は声を上げて驚いてしまう。イグニスがいる手前だが、緊張感が吹き飛んでしまった。
晴登はため息をつきたくなる気持ちを抑え、さっきの仮説を踏まえて思いついたことを一真に話す。
「その力って、"剣"なら何でも作れるんですか?」
「そうだな。試したことがあるけど、"剣"という概念さえ有れば大体オッケーだ」
「──なら例えば、イグニスを打倒できるような剣が創れるとか」
「ほう・・・そうか、その手があるな」
そう仮説を立てる他ない。いや、もはや結論ではないのだろうか。一真も得心がいったと頷いた。
しかし、結論に至ったところで問題は残っている。
「でもどういう剣だ? 全然ピンと来ないんだが」
「それは……」
竜を打倒できるような剣。並の剣でないのはわかるが、確かに想像もつかない。ただ「大きい」、「鋭い」ではない気がする。全く、これでは雲を掴むような話だ。見えてはいるのに、手が届かない──
「ちょい待ち。どうやら作戦会議はここまでらしい」
「なっ、氷がっ…!」
終夜の言葉に前を見ると、イグニスの動きを封じていた氷がついに砕かれていた。やはり、拘束し続けるのは難しいよう
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