巻ノ百四十五 落ちた先でその十三
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「それからは皆で考えようぞ」
「そうしますか」
「戦の後は」
「それからどうするか」
「そのことは」
「そうじゃ、戦が終わればな」
まさにというのだ。
「我等はもう完全な風来坊よ」
「ですな、もう全員死んだことになっていますし」
「それではです」
「完全な風来坊です」
「そうした者達です」
「では思うままに生きられる」
そうなるというのだ、戦になった後の自分達は。
「それならばな」
「後はですな」
「好きに生きまするか」
「我等で」
「そうしますか」
「そうするか、まずは薩摩に入りな」
そうしてというのだ。
「それからになるが」
「ですな、薩摩ですが」
「今向かいはじめたところです」
「間道を何日もかけて進み入る」
「そうなりますな」
「そうなる、薩摩までは遠い」
幸村達の足ではすぐだが他の者達特に秀頼や子供である国松は違っていた。二人共もう肩で息をしだしている。
それでだ、使者の者も秀頼親子に言った。
「少し休まれますか」
「そうしてくれるか」
「はい、この道は幕府も知らぬ道ですし」
「追手や刺客も来ぬからか」
「焦ることはありません」
だからこそというのだ。
「ですから」
「休んでもよいか」
「はい、しかも右大臣様はお疲れです」
慣れぬ道を太った身体で歩いてというのだ、実際に全身汗だくになってしまって顔中から汗が滝の様に流れている。
「ですから」
「そうか、ではな」
「休みも取りつつ」
「そうしてか」
「薩摩に進んでいきましょう」
「それではです」
幸村も秀頼に言ってきた。
「休みつつ確実にです」
「薩摩に向かうか」
「そうしましょう」
「わかった、ではな」
秀頼は幸村の言葉に頷いた、そうしてだった。
一行は薩摩に休みつつも向かっていた、その道はゆっくりとではあったが順調であった。
巻ノ百四十五 完
2018・3・1
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