最終章:夢を追い続けて
第74話「夢を追い続けて」
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に。
ギィイイイイイイイン!!!
……一際、大きな音が響き渡る。
交わったのは一瞬。音は重なり合い、一度にしか聞こえない。
だが、確かにお互いに九連撃放っていた。
実際、束や千冬など、一部の面子はちゃんと八回の音に聞こえていた。
「ッ……」
それは、漫画やアニメにある一瞬の交差を再現したかのようだった。
お互いにブレードを振りぬいた状態で、二人は背を向け合っている。
「……っ、ぁ……!」
「っ、秋兄……!」
先に、秋十が声にならない声を上げ、体がぐらつく。
それを見て、マドカは思わず声を上げる。
「……見事、だ。秋十君」
「ッ……!!」
だが、先に倒れたのは、桜だった。
秋十は倒れそうになったものの、罅が入って折れかけたブレードを支えにしていた。
「っ、はぁ……!はぁ、はぁ、はぁ……」
「秋兄!」
決着がつき、秋十はその場に座り込んで息を切らす。
マドカはそんな秋十に誰よりも早く駆け寄る。
「っ……マドカ……勝ったぜ。あの桜さんに……!」
そんなマドカに、秋十はやり切ったとばかりにサムズアップする。
「……意外だな。贔屓目なしで見れば、最後の交差……あれは明らかにお前の方が総合的に上回っていたはずだ。四属性同時使用の熟練度はともかく、扱いはお前の方が上のはず。だというのに、あの攻防でお前は負けた」
「……まぁ、なに。実際にやれば簡単な事さ」
一方で、千冬が倒れた桜に駆け寄って決着について尋ねていた。
桜もそれに答えるために仰向けになり、ゆっくりと答える。
「秋十君は俺たちと違って、別の事を同時に鍛えるなんてできない。そんな事をすれば一つだけを鍛えるよりも効率が悪くなるからな」
「……だから、一つだけに絞ったと?」
「だろうな。あの瞬間、確かに四属性を宿していた。だが、それは最低限だ。秋十君は他のリソースを、意地を、想いを、全部“火”に注いでいた。……攻撃特化の“火”に」
一点特化。それは、まさに一か八かとなる賭けだった。
特に、桜に対しては一点特化の利点などあってないようなものだ。
その一点特化の特徴が即座に見破られてしまうのだから。
「だが、その程度……とは言えんが、お前なら対処できただろう?」
それに千冬も気づいており、その事を問う。
「ああ。……だが、特化させたのは秋十君が研鑽し、極めた技。その技の速度は俺でも対処が難しい。……それが“火”に特化したんだ」
「……そういう、事か」
詰まる所、“相性”だった。
十分に速度が速く、その上攻撃特化の“火”を宿した攻
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