暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第74話「夢を追い続けて」
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、秋十が拳を放つ。
 それを桜は受け流すように受け止め、顔めがけて拳を放つ。
 秋十も負けじと拳を放ち、双方同時に顔に直撃する。

「「っ……!」」

 そして、同時に地面に倒れこむ。

「っつ……はぁ……はぁ……はぁ……」

「ぐ……くっ……!」

 よろよろと、二人は起き上がる。
 桜をよく知る者としては、秋十はともかく桜がそんな状態になっているのに驚いた。
 そこまで、秋十は桜を追い詰めているのだ。

「………っ……」

「はぁ……はぁ……」

 疲労を隠せない様子で二人は睨みあう。

「……これが最後だ。秋十君」

「……これが最後です。桜さん」

 息を整え、お互いにそう宣言する。
 その様子は、まるで先ほどのISでの最後の攻防のようだった。

「―――その動きに風を宿し」

「―――その身に土を宿し」

「―――その心に水を宿し」

「―――その技に火を宿す」

 交互にそう呟き、改めて二人は四属性をまとう。

「夢追」

「想起」

 次にISのブレードを展開する。
 ただし、展開するのは生身に合わせた大きさのブレードだ。

「………!」

 その様子を、皆は固唾を飲んで見守る。
 誰も割り込まない。否、割り込めない。
 これは二人が決着をつけるべき事で、誰にも邪魔をする権利はないからだ。
 テロリストとしての桜たちはもういない。
 今ここには、ただ自身の意地を張り続けている二人がいるだけ。

「「………」」

 互いに様子を探り、動かない。
 それは、さながら達人同士の読み合いのようで、僅かにも動かなかった。
 時間にして僅か十数秒。
 しかし、体感では数分、数十分にも長く感じた。

「っ………」

 “ピン”と張り詰められた空気が二人から発せられる。
 並の人間が二人の間に入れば、その空気に中てられて呼吸困難になるほどだろう。
 いつ、どのタイミングで二人が動き出すか、誰にも分らなかった。
 ……否、もしかすれば、付き合いの長い束と千冬にはわかっていたのかもしれない。

「「ッッ!!!」」

 同時に、二人は動き出す。
 同じタイミング、同じ動きで足を踏み出し、瞬時に間合いを詰める。

「ぉおっ!!」

「ぁあっ!!」

 声を上げ、ブレードが軌道を描く。
 お互いに、最大の手数と威力を持つ技を繰り出す。

   ―――“九重の羅刹”
   ―――“九重之閃”

 桜は、四属性全てを宿した怒涛の九連撃。その全力。
 対し、秋十は自ら昇華し続けた神速の九連撃。

「ッ――――――!」

 それを見ている全員が、目を見開く。
 決着がつくその瞬間を、決して見逃さないため
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