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巨乳撲滅運動
第三章
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「まあそれはそれでね」
「別にしてですか」
「そうだよ、脂肪吸引機を売り出せば」
 巨乳ではなく肥満を見てだ、社長は麻友に目を輝かせて言うのだった。
「これは我が社にとって大きな利益になるよ」
「左様ですか」
「是非採用させてもらうよ」
 社長は満面の笑みで太鼓判を押した、実はこの企業は美容関係だ。麻友は企業選びには無頓着で最初は何とテーマパークに売り込んで当社に合わないと言われている。
 しかしだ、その美容関係の企業の社長にはこう言われたのだ。
「これは世界中に売れるな」
「肥満対策として」
「うん、そうなるよ」
 社長は満面の笑顔で言った、そうして麻友からその吸引機の設計図を高額で買い開発と製造を主導してもらった。
 社長の予想通り吸引機は世界に爆発的に売れ多くの人の脂肪を吸引して彼等の肥満を救った、弊害は麻友の設計が完璧だった為なく事故がないことも好評だった。
 特許を持っていた麻友にも彼女が所属している大学にも桁違いの収入が入った、だがそれでも麻友は言うのだった。
「何でこうなるのよ!」
「よかったな、お金入って」
「自分自身にも大学にもな」
「これはハッピーエンドだな」
「ああ、誰がどう見てもな」
 周りはこう言った、しかし麻友は不満を爆発させて言うのだった。
「私は巨乳を撲滅したいと思っていたのに!」
「巨乳より肥満だろ」
「世の中そっちの方が問題だからな」
「それじゃあそれでいいだろ」
「お金も入ったし」
「私は巨乳を撲滅したいの!」
 あくまでこう言うのだった。
「それなのに肥満なんてどうでもいいものに」
「そこまで言うなら自分で開発しろよ」
「今回のことでお金かなり入っただろ」
「自分の研究所とか作れるだろ」
「そうなったらだろ」
「そんなの法律で禁止されてるわよ」
 ここでこれを出した麻友だった。
「無許可で色々造られないし大量破壊兵器だの変なのは日本厳しいし」
「いや、世界征服目指してるんだろ」
「それで法律言うか?」
「それ気にするか?」
「私の目的はまず巨乳撲滅よ」
 麻友は真剣な顔で反論した。
「それが問題だから」
「怪しい研究所も立てられないってか」
「そう言うんだな」
「そうよ、ここはまた計画の練り直しよ」
 かといって諦めることはしない、この辺りはマッドサイエンティストだ。マッドサイエンティストは諦めることはしないのだ。
「あらためてね」
「また巨乳撲滅の何か考えるか」
「そうするんだな」
「そうよ、今度は何を造るかよ」
 麻友はその目を燃えさせていた、そうしてあらためて巨乳撲滅に動くのだった。彼女にとってそれは最早世界征服よりも遥かにそれこそ天と地程違うまでに重要で高位にあるものになってしまっていた。


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