第1部 ゲーマー少年は盤上の世界に降り立ったそうです
第1話 可能性
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れは、自分も混ぜろ、あるいは『 』の前に自分と戦えって事だろ。
そして、お前が送り付けたメールにはURLがあった。
つまり、ホントはここに連れて来る前にゲームするつもりだった。
よって、それは連れてくるかどうかの選別でもあるということ────違うか?」
シグは、まるで当然を説明するかのようにテトの行動の逐一の意図をバラした。その異常なまでの推察力に、テトは顔を引き攣らせる。
「うわっ、末恐ろしいなぁ。────当たりだよ、これは試験だ。
内容はチェス…さあ、ゲームを始めよう!!」
しかし、それも束の間。傲慢不遜なゲーマーと化したテトは、チェス盤を編んで宣言する。
「復唱してねシグさん────【盟約に誓って】!!」
「OK、負けて泣くなよ?────【盟約に誓って】」
勝負は、ほぼ互角を演じた。
仕掛けるのはテト、奇抜な発想で一手を放ち。
受けるはシグ、狂った思考で一手を打つ。
一進一退の攻防。永遠に続くかと思われた、実力者同士のチェス────しかし、それにも決着の瞬間は訪れた。
「チェックメイト────俺の勝ちだ」
勝ったのは────シグだった。
斯くて『 』への挑戦権────。盤上の世界への片道切符を、シグは手に入れる。
手に入れる────が。
「なんでこんな過疎地に飛ばしやがったテト……こっからどう『 』に辿り着けと?」
降り立った地は人っ子一人もいなかった。食料品どころか水にさえ困窮する状況、もし腹いせなら度が過ぎるにも程がある。
「開始地点が余りに酷いだろテト…負けた腹いせか?」
「そんな風に思われるのは心外かな?僕はただ、『 』さんと条件を対等にしただけだよ」
「……ならいい。『 』がこっから巻き返したなら、俺だってそうする」
シグの言葉に、だがテトは首を振って答えた。
「いや、やっぱりエルキアまで送ることにしたよ。死なれちゃ困るしね♪」
「人の話くらい聞けよ」
「いや〜、唯一神の好意だよ?めったにないから、受けて損はないと思うなあ」
言うやテトは、問答無用にエルキア領へと転移した。
「────相変わらずの出鱈目だな」
「褒め言葉と受け取っておくよ。それじゃ、健闘を祈ってるよ☆」
そう言って、テトは刹那に消える。────全く、出鱈目だ。
「……さて、まずは資金と情報収集。ゲーマー的には鉄則だよなあ」
売れる初期装備はないが、と呟いて、シグは一歩踏み出した。
その一方で、テト。
彼は表情に影を落として、独り言を言った。
「『 』さんといいシグさんといい…なんであんな自己嫌悪に満ちた目をするんだろうね」
そう、テトは自己嫌悪に満ちた目で言った。
「その目は…|彼《リ
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