第1部 ゲーマー少年は盤上の世界に降り立ったそうです
第1話 可能性
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─唯一神の招待状を、棄ててしまう。
そして────刹那。
「ねぇシグさん────門前払いは傷つくなぁ?遊ぼうよ?」
高く澄んだ少年の声が、明らかに画面の中から響く。同時、部屋を飛び交っていたはずのブルーライトが一斉に沈黙する────唯一、メールが表示されているPCを除いて。
「────ッ!?」
動揺する少年の思考は、PCから生えた手に完全にとどめを刺される。
そして────抗うことも許されぬまま、彼の身体は画面の中へ吸い込まれた。
拉致られた。それが、シグの理解できた限界だった。
そこは、白い空間だった。果てのない、立っているのかさえ曖昧な非現実。
そこに、かの少年────テトは佇んでいた。
「やぁシグさん。僕はテト────神様さ♪」
テトはおどけて言うが、シグはその言葉を聞いて表情に更なる影を落とした。
シグは、テトの発言を明らかに忌避していた。
「そんな怖い顔しないでよ?僕は怪しい者では無いよ」
「そうか、初対面で拉致って『僕は神だ』とか世迷言吐く奴が怪しくないってか」
シグは、ごもっともな指摘でテトを黙らせる。そして、光を失くした目で、問う。
「なぁ────お前が神だっていうなら、俺の過去を運命づけたのはお前なのか?」
そう、何も映さない黒い瞳で問う。無論、テトはシグの過去など改変してはいない────
だが、彼の過去を覗き見て、テトは絶句した。
「そんな、君はいったい────」
テトをして驚愕させる過去を持つ少年は、しかしテトの言葉が残した情報の確認だけして、感傷に浸るでもなくこう言った。
「もう昔のことだ。それより、『 』と戦いたくないか────だったな?
勿論答えはYESだ。とっとと、試験内容教えてくれよ」
試験内容。その一言だけで、全て理解したとシグは────現最強ゲーマーは告げた。
それは同時に、あれほどの過去を思い出して何の動揺もないことをも暗に示していた。そんな感情のこぼれ落ちた感傷に、テトは悲しげな笑みを浮かべながらシグの問いに答える。
「────へぇ、流石『 』さんの後釜に入ることの出来るだけはあるね。
たったあれだけの情報で、もう状況を把握したのかい?」
しかし、それをすぐさま押し殺して不敵に振る舞い、テトは唯一神らしく不遜に問い返した。
だが、シグはその質問に「自明の理を説かせる気か」と当然のように答える。
「────まず、『 』は失踪してる。そしてお前は俺を拉致った。方法も原理も理解不能、神様と仮定。
『 』も拉致ったとすれば、俺を『 』と戦わせる事も出来る。拉致った『 』の元に、俺を送ればいいだけだ。
だが、お前は「『 』と戦わせてやる」と言う前に「遊ぼう」と言った。つまりそ
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