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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
序章 シンドゥラ編
第三話 無双勇者
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う名の無双の勇者が現れる。だが、彼はシヴァ神の呪いにより破壊の化身となってしまう危険性がある。そうならぬよう、お前が保護してやるがいいと」
そんなお告げを受けたそうな。乳母の私から見ても、あの王子様は決して信心深くは見えない。なのに、そんなあの子に神様がお告げを?失笑しそうになり、慌てて堪えたが、彼は珍しくも真面目な顔をしていた。
「俺もただの夢だとは思う。だが、国にとって有為な人材がむざむざ失われるかもしれないのを座して見ているのが正しいあり方か?俺はそうは思わない。お前の力の及ぶ限りにおいてで構わないから探してくれ。手間をかけるがよろしく頼む」
そう頭を下げた彼の姿には、確かに歴代の王の血を感じさせる何ものかがあった。子供の戯言と笑い飛ばす事など到底出来よう筈がなく、
「確かこの都の東の下町にそんな名前の歩兵の子が居た筈です。しがない歩兵の子に大層な名前をつけるものだと思って記憶に残っていましたが、もしかするとその子の事かもしれません。調べてみましょう」
と受けあってしまっていた。
今、私は記憶を頼りに下町を歩いている。確かこの角を曲がれば…。
…何やら辺りが騒がしいような。路上で医者らしき風体の男にみすぼらしい姿の中年女がすがりついているようです。これは一体…?
◇◇
やれやれ、危ないところだった。もう少し遅れていれば、取り返しのつかない事になっていたかもしれない。
つい先日の事だが、都の近隣のとある村が山から下りてきた熊に襲われたと言う訴えが王宮に届き、それを受けて軍は都の歩兵の一部を連れて山狩りを行ったのだと言う。何とかその熊を殺す事は出来たものの死傷者が多く出て、バハードゥルも仲間を庇って深手を負ったと言う。何とか自力で家までは帰って来れたものの、家の扉を開けたところでバハードゥルは昏倒し、以来二日高熱が出て目を覚まさない状態だったと言う。歩兵だった夫を早くに亡くし、ガタイはいいものの食費の嵩む息子を抱え、母一人子一人で生きていた彼の母には高価な薬代など払える筈もなく、それでも何とか息子を救ってほしいと医者にすがりついて懇願しているところをカルナが目撃したと言う事だった。
事情を知ったカルナは「ラジェンドラ王子の名において彼の治療に必要な全ての費用を用立てましょう」と宣言し、知らせを受けた俺も王宮に出向き、今回の山狩りで傷を負った兵たちや遺族により厚く報いてやるべきだとの進言を行った。親爺は快諾してくれたものの、側近どもは「生まれの卑しい王子は、やはり卑しい者たちの事が気になるようですな」との陰口を叩いていたようだ。まあ、知った事ではないけどな。
高価な解熱剤を投与され、手厚い看護を受けたバハードゥルの熱は翌朝ようやく下がった。高熱が三日続くと脳に障害が残る場合があると言
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