294部分:第二十一話 見てしまったものその十一
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第二十一話 見てしまったものその十一
「そして身体も作ってくれる」
「成程な」
「私もいつも食べてる」
椎名はこうも話した。
「どれも」
「どれも?」
「そう、どれも」
そうだというのだ。
「麦飯も十六穀も」
「僕にも御馳走してくれるしね」
赤瀬もここで言ってきた。
「色々な身体にいい食べ物をね」
「赤瀬にはいいかもな」
陽太郎はその麦飯のお握りを食べながら述べた。
「柔道やってるしな」
「うん、椎名さんいつも考えてくれるから」
「名軍師だけでなく名トレーナーでもあるのか」
「それは違う」
椎名は陽太郎の今の言葉はすぐに否定した。
「言葉が抜けてる」
「美少女がかよ」
「そこ、強調して言って」
顔にも言葉にも表情はない。しかしそれでもだ。口調はしっかりとしていた。
「絶対に」
「相変わらずそこにこだわるな」
「女の子だから」
だからだという椎名だった。
「美容にも気を使ってるし」
「そうなのか」
「美はいいもの」
椎名は一言で言った。
「だから」
「それでか」
「メイクもしてる」
椎名はこのことも話した。
「実は」
「えっ、そうなのか」
それを聞いてだ。驚いた顔になる陽太郎だった。
「全然そうは見えないけれどな」
「ナチュラルメイク」
本人の言葉ではそれであるというのだ。
「それをしてるから」
「ナチュラルメイクなのか」
「そう」
その通りだというのだ。
「女の子は皆してるから」
「私もよ」
津島がにこりと笑って陽太郎にこのことを話してきた。
「実はね」
「そうだったのか」
「そうなのよ。皆今日も朝早く起きてね」
「メイクしたのか」
「ええ。勿論つきぴーもね」
これまで静かにしていた月美のことも話した。当然彼女もここにいる。
「一緒におトイレでね。メイクしたによ」
「そうだったのか」
「女の子って大変なのよ」
津島は腕を組んで少しむくれたような顔になって述べた。
「メイクもしないといけないし」
「それだけじゃないんだな」
「服だって気を使わないといけないし。髪型だってアクセサリーだって」
「多いな、おい」
「そうよ。女の子は何から何までそうなのよ」
そうだというのである。
「つきぴーだってそうよ」
「私は別に」
「何言ってるの、そんな奇麗な顔と髪で」
見れば月美の顔は今日も整っている。そして髪もだ。起き抜けとは思えない程さらりとして光沢を放っている。見事なロングヘアは今日もだった。
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