七話 渦巻く心と螺旋の輪廻
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そう。これが、僕と『アラヤ』の出逢いだった。
それからエミヤは頻繁に顔を出すようになり、僕に色々な話を聞かせてくれた。
エミヤの故郷。
エミヤの友人。
エミヤの大切な人。
エミヤの話はどれも面白くてワクワクした。
でも、少しだけ伝わってくるこの悲しさは故郷の事を想うエミヤの心なのだろうか?
そして、僕はエミヤの意外な一面を知った。
エミヤは、感情を表情に出さない。でも、それは単に臆病だからで、表情では強がってて冷静に見えるけど…心は硝子みたいに繊細で壊れやすい事をボクはその時、初めて知った。
まぁ、臆病と言うほど臆病でも無いと思うが…外見では想像出来ない悩みやを抱えているのは確かだ。
ある時、エミヤは僕に剣術を教えてやると言ってきた。
お爺様は猛反対しエミヤと決闘寸前の所まできてたけどお祖母様が仲介してなんとかなった。あの時のお爺様は本当に凄かった。いつもは無口で何を考えてるのかよく分からないお爺様だけど僕の事を想って怒ってくれたのは子供の頃の僕でも理解出来た。
そして話し合いの末に、エミヤは僕に剣術を教えてくれる事となった。
そこ時のお爺様の表情はよく覚えている。
とても悲しそうだが…心の何処か片隅では喜んでいる。そんな複雑な心境だったのだと今なら分かる。
でも…お父様は…余り、喜んではくれなかった。
どうやらエミヤとお父様は仲が悪いらしい。
でも、その割にはエミヤが僕に剣術を教えると決まった時、反対することもなく了承していた。
その日からエミヤは、僕の師匠となった。
エミヤの教える剣術は剣技では無かった。
というか、どちらかと言うと剣撃に近いものだった。
剣は斬るもの。剣は貫くもの。剣は叩き付けるもの。
剣は斬るだけのものでは無い。斬るだけならナイフで充分だ。
剣は貫くものでは無い。貫くだけならフォークで充分だ。
剣は叩き付けるものでは無い。叩き付けるなら木の実で充分だ。
剣という概念に囚われるな。形に固執するな。用途を考えろ、そして使い分けろ。
剣だから、と剣一本で戦おうとするな。使うのは剣だけではない。
落ちている小石、実った木の実、地面の土さえも利用しろ。
無駄な物など一つもない。全てを活用しろ。無駄だと決め付けるな。
己の肉体だけで勝とうとするな。地形、気候、時間さえも利用しろ。
勝つためなら何でも利用する。
諦める決断をするのはすぐにできる。だが、挑み続けるのは困難な道程だ。
止まるな、歩み続けろ。お前の剣は、武器であって『武器』ではない。
弾かれ、そして木っ端微塵に粉砕された剣。
エミヤの剣は『剣』では無かった。
いや、本質的には剣という分類に入るのだろうが…あんな使い方をするのはエミヤくらいだろうと今
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