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Re:ゼロから始める士郎の生活
七話 渦巻く心と螺旋の輪廻
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この世界でたった一人。

夢や希望に憧れて、友人達と語り合った日々を僕は忘れない。

僕の見てきた景色と彼等の見ていた世界は太陽と月くらい違って、僕は月を見上げていた。
彼等は、太陽を見上げ…そして消えていった。
燃え尽き。跡形もなく────消え去った。

僕を残し彼等は居なくなった。
おかしいな。悲しくて苦しい筈なのに、僕は今も平然と生きている。
あの頃の事は、今もよく覚えている。
恵まれた家庭で、裕福な家庭で、何不自由なく生きていた。あの頃は楽しかったな。
おじいちゃん…お爺様の剣技に憧れて僕も剣を振るっていた。
素振りして、お爺様の稽古を受けて強くなっていく自分を感じていた。
前だけ見て全力疾走の日々だった。
後の事なんて考えない。先の事なんて考えない。剣だけを振るって前だけを見て生きていた。

だが、そんな日々は突如…終わりを迎える。

あの一瞬、あの刹那を僕は忘れる事は無いだろう。
いつものように友人達と剣を振るっていた────その時、僕の中にソレは現れた。
いや、継承されたと言うべきかな。
その瞬間から僕の体感時間は、世界の常識から掛け離れたものになった。
「───────────────────────────────────────」
振り下ろされた木刀。
とてもゆっくりで、止まって見えた。これは態と遅く剣を振るっているのか?
そう錯覚するくらい遅く…止まっているように見えた。
どうする?これは罠かも知れない。ギリギリまで様子を見よう。急に振り下ろす速度が速くなっても対応できるようにしておこう。
考えるよりも感じるよりも念じるよりも先に身体が動いた。
振り落とされる木刀を最小限の動きと力でいなし、相手の動きに無理矢理、隙を与えた。
これで相手は次の行動に動くのに余計な時間を掛ける事になる。あの時の僕は、その隙を好機と見て木刀を振り上げた。
そして、相手の…友達の頭部に当たる寸前で寸止めし。
「僕の勝ちだ!」
と自信満々の笑顔で勝利する筈だったんだ。
「……え?」
その一撃は重過ぎた。
寸前で寸止めした。木刀は友達に触れてはいない。
なのに友達は後方に思いっ切り吹き飛んでいった。
悲鳴と断末魔…友達は、僕の屋敷の扉に激突し貫通した。
そして屋敷の壁にぶち当たりめり込む形で、なんとか友達は助かった。
いや、助かった…というのは語弊かも知れないね。あの時の僕は勝ちたくて勝ちたくて仕方なかった。今の僕にとって勝ち負けなんてどうでもいい事だけど、昔の僕は違った。
突然の覚醒に僕は違和感を感じながらも勝利を優先したんだ。
肉体と精神の変化なんて、あの時の僕にとってはとても些細な事で、誰よりも強くなってこの街の皆を守護する騎士になりたい。そんな子供じみた安易な発送と憧れ…あ
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