第二章
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とかくバンはメロンパンに生きる情熱の全てを賭けていた、食べて食べて食べ続けていた。その中で。
バンはある噂を聞いた、それは彼がいる神戸の話ではなかった。
「沖縄にか?」
「ああ、ネットの話だけれどな」
「美味いパン屋があってか」
「そこのメロンパンがな」
クラスで友人が話していた。
「絶品らしいんだよ」
「沖縄か」
「那覇市な」
沖縄県の県庁所在地だ。
「そこにあるらしいな」
「詳しい場所を教えてくれるか?」
バンはその友人に真顔で頼んだ。
「そうしてくれるか?」
「おい、まさかな」
「そのまさかだよ、今度三連休だからな」
それでとだ、バンは友人に行った。
「行って来るな」
「おい、御前この前北海道にも行っただろ」
友人はそのバンに呆れた声で告げた、表情もそうなっている。
「それでもか」
「沖縄にも行ってな」
「メロンパン食うんだな」
「美味いメロンパンがあったらな」
行く理由はそれで充分だった、彼にとっては。
「俺は何処にでも行くんだよ」
「それで金は?あったな」
「その為にバイトしてるんだよ」
それで金を貯めている、これもやはりメロンパンの為だ。
「だからな」
「今度の三連休行って来るんだな」
「沖縄までな、じゃあ店の名前と住所教えてくれるか?」
友人にこのことも頼んだ、そしてだった。
バンは実際にその三連休一人で飛行機に乗って沖縄まで行った、朝早くにそうして沖縄に着くとその店に直行し。
そのメロンパンを食べてすぐに神戸に戻った、何と日帰りで次の日からは神戸でアルバイトにも入った。
そして学校でその友人にスマホでその店の画像とメロンパンにそれを食べる自分の姿を掲載した自身のメロンパンのブログを見せつつ感想を述べた。
「沖縄ははじめてだけれどな」
「美味かったんだな」
「ああ」
素直にその感想を述べた。
「少し固めで水分を飛ばしてるな、けれどその分甘さが強くてそうして中のふんわり感は健在でその生地の作り方はな」
「生地までわかるのかよ」
「俺にはわかるんだよ、それでな」
さらに言うのだった、そのメロンパンのことを。
そしてだ、バンは結論としてこう言った。
「行った介があったぜ」
「沖縄にか」
「ああ、本当にな」
「御前沖縄日帰りだったよな」
友人はメロンパンのことを熱く語るバンにクールな目で問うた。
「そうだよね」
「それがどうしたんだ?」
「沖縄に行ってもか」
そのこと自体についての問いだった。
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