ep26 束の間の推理
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ラグランジュ1にあるソレスタルビーイングの秘密ドッグは、資源アステロイド群に紛れ込む形で存在している。ソレスタルビーイングの実働隊は、その秘密ドッグを訪れていた。
戦術予報士のスメラギ・李・ノリエガは自室で、今後のプランの変更とヴェーダの推測を照らし合わせていた。彼女の左手にはウイスキーの入ったスタンブラーが収められている。
スメラギは苦々しい顔を浮かべながら呟いた。
「ヴェーダは基本、計画の進展に拒絶を示さない……。トリニティの武力介入は、計画の障害として認知されてないのね」
3機のガンダムスローネを用いるセカンドチーム・トリニティの活動は、世界に一方的な破壊をもたらしている。武力介入という名で行われている軍の主要基地掃討は、世界のソレスタルビーイングに対する憎悪を肥大化させていた。
そのため、スメラギはプランの大幅な変更に追われている。ヴェーダは、世界における武力介入対象地域の推定・絞り込みや世界情勢の観測を行う。だが、トリニティの活動ですぐに更新されてしまい、方向が定まらないのが現状だ。
そのとき、モニターに映像通信の受信が表示された。スメラギがそれを開くと、人物の顔が映し出される。
「王留美」
相手はソレスタルビーイングのエージェントを務める王留美だった。彼女は軽く頭を下げると、いつもと変わらぬ微笑を顔に浮かべる。
『ご無沙汰しております、スメラギさん。お伝えしたいことがありまして、連絡を取らせていただきましたわ』
ーーわざわざ顔を出してまで報告することって何かしら?
チーム・トリニティによる武力介入が世界の注目を浴びていることもあり、スメラギは顔を少しだけ強張らせる。
だが、王留美の言葉は予想とは違っていた。
『現在皆さんが駐留されているラグランジュ1に、補給のためのエージェントが参ります。急遽決まったことなので、スメラギさんには直接話しておく必要があると思いまして、連絡致しました』
「あ、ああ……。そうなのね」
「彼らは補給後、すぐに出発します。そちらの活動に支障はないかと」
「すぐに連絡ありがとう。……了解したわ」
『失礼します』
王留美の顔が画面から消える。スメラギは、再び表示された自らの仕事を横目で見て、両腕を上に伸ばした。
「もうやめやめ。休憩っと」
スメラギはウイスキーを一気に呷り、スタンブラーを机に置く。そのまま部屋の壁に面したベッドに身体を沈めた。
「王留美が悪いわけじゃないけど、気になる話されたら気になっちゃうものでしょ」
スメラギはそう呟いて休憩を正当化する。それから、休みがてら王留美の話に頭を働かせてみた。
補給のエージェント。こんな急に、いっ
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