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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
生存戦 5
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てゆき、引っかかりを作るとそこから一気に剥ぎ取った。
 続いて肉。
 蛇は全身が筋肉のようなものなので肉の弾力がすさまじい。また骨は長く丈夫で肉にみっしりと喰い込んでいる。捌くには蛇の背骨に沿うようにしっかり刃を合わせて、あばら骨の流れに沿って肉をこそげ取るようにして剥ぐ。
 それでも小骨が多く残るので、これをどうするかが難題だ。

「これが死にたてで、ここに白酒(パイチュウ)でもあればな。さぞかし美味い蛇血酒(カクテル)が飲めたのになぁ」
「つくづくゲテモノが好きな野郎だぜ」
「せっかく見事な食材なのに、俺ごときの調理技術じゃたいした味にならないかもな」

その通りになった。

「……不味い」

 自身の作ったスキュラスープをひと口すすり、肉の一片を食べた秋芳は顔をしかめる。

「そうか? じゅうぶん美味いぞ」
「ちがう。これでは中華街で食べた?蛇羮や太史五蛇羮に遠くおよばない。あまりにも、あまりにも遠くおよばない!」
「難儀な野郎だ」

 四日間におよんだ生存戦。その最後はスキュラスープで〆られることとなった。 




「《強く鋭き魔力よ・拘束の剣・束縛の刃と化せ》」

 黒魔【ブレード・ネット】。マナによって生じた光輝く刃の網がスキュラの身体を縛りあげた。

「GUGAAAAAッ!!」

 身体にある獣のあぎとから苦痛を訴える叫びがあがる。
 大蛇ではなく無数の犬の頭を生やしたハウンドヘッドと呼ばれる亜種だ。

「人は草を殺し魚を殺し獣を殺し、喰う。俺の知り合いにも人を喰う(ばけもの)がいる。だからおまえが俺を襲い、喰らおうとすること、それ自体は非難も否定もしない。おたがいに弱肉強食というやつだ。だからおまえも返り討ちにあっても文句を言うなよ。それと、ひとつ疑問に思うことがあるので答えてくれないか。なんでこんな浅い領域に、学院の近くにおまえみたいな魔獣がうろついているんだ?」
「魔術師ごときがいい気になるな! あたしの一番好きな大親友、夜と恐怖の精霊、あたしの敵はあんたの敵。だからこいつをやっつけて!」

 精霊魔術の行使には詠唱と動作が必要だ。両腕を高く上げる動きで身体を縛る刃の網に切り刻まれつつ、ナイトメアの召喚に成功した。
 急速に暗くなる。ハウンドヘッドスキュラを中心に漆黒の影が広がり、秋芳を飲み込んだ。

「おう、これが恐怖の精霊か。はじめて視たぞ」
「はっ、ははっ! はははハハハハっ! 恐怖に飲まれろ!」

 激しい恐怖に心を砕かれ、意識を失うか、精神を蝕まれて魔術を行使することを封じる闇の波が去った後も秋芳は平然としていた。

「なん、だってぇ……。ぐふっ!」

 起死回生のナイトメア召喚も相手に通用しなかった。
 それどころか無駄に傷つき
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