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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
生存戦 5
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骸だが、食べてみようと思う」
「「「……はぁ?」」」

 とんでもない提案に凡然とする一同。

「蛇は鶏肉に似たあっさりとした淡白な味で、しかも滋養強壮や美肌効果もある」
「いや、蛇じゃなくてスキュラ……」
「だからスキュラの蛇の部分だけ食べる」
「ど、毒とかないのかよ」
「スキュラに固有の毒はない。感染症や寄生虫については【キュア・ディジーズ】の心得があるから問題ない。あ、感染症といえばスキュラに沈まされた三人は水を飲んだだろうから後でかならず医務室の先生に視てもらったほうがいいぞ。こんな濁った水、どんな人食いバクテリアが生息していてもおかしくないからな」
「いまは劇症型溶血性レンサ球菌感染症の心配よりも、あんたがしようとしているゲテモノ料理の心配だ!」
「くわしいな、おい」
「ゲテモノ食いはきらいじゃないぜ」
「ジャイル!?」
「おまえらがビビって食えないってんなら、俺が代わりに食う」

 胆はだれにも負けない。それがジャイルの矜持だ。

「好きにしてくれよ、もう。どうせ昼前には飛空挺が来るし、ここでスキュラなんかの肉を食べなくても餓死しないからね」
「で、どう調理するんだ。蛇の肉は小骨が多くて、料理するのにも食うのに難儀するって話だぜ」
「その前に、ちょっと偉ぶらせてもらおう」
「あ?」
「ええっと……。ハインケル、クライス、エナ、ジャイル。おまえらは魔術学院の成績優秀な生徒で、将来を約束されたエリートだ」
「あの、僕らのことは……」
「この二次創作のためにぽっと出で作られたモブキャラ」
「ひどい!」
「事実、今回の生存戦で最後まで残った。そんなおまえたちに勝った俺はすごい。マジすごい。鬼ヤバイ」
「……で?」
「この俺のすんごい技術や知識、知性は特権ではなく天からの授かり物だ。人類のために使わなければならない。俺はここでさらに、さ、ら、に! 調理スキルを駆使してスキュラの肉を究極にして至高の美味にしてやる。すごいだろう? これらのことを世に喧伝してもらおう」
「はあ?」
「俺を盛り上げてくれ」

 伯楽の一顧という成語がある。
 いにしえの中国。駿馬を売ろうとする者がいたが、なかなか売れない。そこで伯楽に合いに行き「私は駿馬を持っていて、これを売りたいのですが誰も見向きもしない。どうかあなたが馬の周りをぐるりと回って観察し、去り際にもう一度振り返っていただけませんか。そうすれば多少のお礼は差し上げます」と。
 伯楽が言われるままにそうすると、馬の値段はたちまちはねあがり、すぐに買い手がついた。
 伯楽とは秦の穆王に仕えた馬を見分ける名人のことで、のちにそのような馬の目利きのことを伯楽と呼んだ。
 その伯楽に「さくら」になってもらって、馬の値段をつり上げたのである。
 この話から
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