第三章
[8]前話
「マスター」
「マスター?」
「そう、マスター」
こう言うのだった。
「マスター」
「マスターっていうと」
すぐにだ、持ち主にもわかった。
「僕のことかな」
「・・・・・・・・・」
ノイズは今度は文字を出さなかった、だが。
こくりと頷いた、そしてだった。
暫く手話も出した、持ち主は手話はわからなかったが。
このやり取りをだ、友人に話すと友人は驚いて言った。
「あれっ、それじゃあ」
「うん、やり取りがね」
「出来る様になれるかもね」
「まさか彼女が手話を覚えるなんてね」
「パソコンの中で学んだのかな」
「パソコンの世界に入ってね」
「あの中は学べるものの宝庫だからね」
検索すればそれこそだ、興味のあるものを幾らでも学べるというのだ。
「だからだね」
「手話も覚えたのかな」
「そうかもね」
「じゃあ君も覚えて」
友人は持ち主に話した。
「彼女とそれでやり取りをするといいよ」
「その通りだね」
「そしてね」
友人はさらに話した。
「彼女君をマスターと言ったね」
「うん、そのことは正直驚いたよ」
「そうだね、遂に言葉をだね」
「出したんだよ」
例え一言でもだ、そうしたというのだ。
「凄いことにね」
「それは凄いね」
「意味がわかる言葉もね」
「遂に出したんだね」
「そうだよ、ひょっとしたら」
それこそとだ、持ち主は友人に希望に満ちた目で話した。
「これから徐々にでもね」
「君とだね」
「やり取りが出来るかも知れない」
「そうなるかもね、それじゃあ」
「うん、今日もね」
「彼女と意志の疎通を図っていくね」
「そうするよ、勿論手話も覚えて」
そしてと言うのだった。
「彼女と話していくよ」
「応援させてもらうよ」
笑顔でだった、持ち主は友人に話した。そして手話の本を買って読むのだった。
理解可能 完
2018・7・18
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