第三章
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「世界中の批判がロシアに集中し」
「その信頼が落ちるね」
「それも内外で」
「だとすれば」
「はい、ロシア政府でもなく」
「山縣有朋説もあるね」
「山縣も陰謀家ですが」
このことで生前から評判が悪く今も尚そう言われ非常に人気が薄い人物だ。
「しかしです」
「あえて伊藤博文を暗殺するか」
「それも考えられないです」
智章はまたコーヒーを飲んでから述べた。
「政治上で対立していても」
「二人は個人的には付き合いが深かったしね」
「それに二人は政治の話で何処かで折り合いをつけることも多かったですし」
「最後まで折り合いをつければいい」
「それに山縣は併合の件では消極的でしたし」
「そこは伊藤と同じだね」
「確かに人望は薄い人物でしたが」
尚一度目をかけた人物は決して見捨てずそれで派閥の者達からは随分と慕われていたという。
「そうした迂闊なこともしませんでした」
「慎重で有名だったしね」
「だとすればあの事件は迂闊と言えばあまりにも迂闊なので」
「山縣の線もないね」
「はい、だとすると」
「可能性は一つだね」
「彼と同志達が行い」
伊藤博文の暗殺、それをだ。
「そして彼一人が実行犯と主張して」
「日本側もそうせざるを得なかった事情があって」
「そうなりました」
「そういうことだね」
「そうだったと思います」
「ふむ。名推理だね」
「資料と当時の情勢や関係者をじっくりと調べますと」
それでというのだ。
「そうした結果になるかと」
「そういうことか」
「はい、そしてこのことは実は小説を書くことでずっと考えていて」
「調べてだね」
「こう考えるに至りました」
「そうなんだね、じゃあやがては」
「今書いている作品が脱稿したら書きます」
智章は客にこのことを約束した。
「小説として」
「そして今書いている投稿サイトで発表するね」
「そうさせてもらいます」
ここで智章はコーヒーを飲み終えた、そしてその場にノートパソコンを出して書きはじめた。そうしてその作品が終わったなら今の話をと思うのだった。既にプロットは書いていて後はそこから文章を書くことだった。
学生小説家の名推理 完
2018・7・18
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