機動戦士ガンダム
2109話
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シーマから優遇されていて、今では異名持ちですらある。
その異名も戦闘の中で付けられたものじゃないから、一段落ちる……という風評も、模擬戦で連戦連勝を重ねた事によって吹き飛ばした。
そんな俺を気にくわないと思うのは、理解出来ないでもない。
もっとも、だからといってこっちで特に何かをするつもりはないんだが。
クルトをそのままスルーして、ブリッジに向かう。
途中で何人かの海兵隊のメンバーから声を掛けられるが、そちらは殆ど友好的なものだ。
殆どという事は、当然そうでないものも混ざっている訳で……
「ちっ!」
先程のクルトとは違う相手がした舌打ちを聞きながら、通路を進む。
俺も、この艦にいる全員から好印象を持たれているとは思っていない。
そもそも、この艦はサイド3の中で最も貧しい……それこそスラムのコロニーとでも呼ぶべきマハルの者達の集まりだ。
当然我の強い者は多いし、見掛けから俺を見て気に入らないと思ってもしかたがない。
それでもシーマ艦隊にいるだけあって、俺を売るような真似をしない程度の連帯感や帰属意識の類は持っているらしい。
いや、そういう境遇でシーマの統率力があるからこそ、仲間意識は非常に強いのだろう。
もしどうしても俺を排除したかったら、それこそ俺の存在をシーマよりも上の人間に教えてしまえばいい。
聞いた話によると、本来はシーマの上司にアサクラとかいうギレン・ザビの派閥の者がいるんだが、そのアサクラは仕事を全てシーマに投げているらしい。
だからこそ、この艦隊はシーマ艦隊と呼称されている訳だが。
そんなアサクラに俺の事を報告すれば、恐らく問題になる可能性が高い。
いや、それとも余計な騒動になるのを嫌って、報告を揉み消す可能性の方が高いか?
そのような事をしていないというだけでも、シーマ艦隊に対する愛着というのは見て取れる訳だ。
そんな風に考えていると、やがてブリッジに到着し……虎の毛皮を使った艦長席では、シーマが機嫌良さそうに笑みを浮かべて通信をしていた。
『いや、彼は間違いなく凄腕だな。ニッキやシャルロッテのように血気盛んな連中は、自分も模擬戦をしたいと言っていたよ』
「そうかい? けど、そろそろ作戦宙域も近づいてきた頃だ。残念だけどそんな余裕はないだろうね。この後もぎっしりと予定は詰まってるし。ア……ムウも作戦の時に模擬戦疲れで本領を発揮出来ませんでしたなんて事になったら、面白くないだろう?」
通信相手はゲラート。
突撃機動軍所属のシーマ艦隊と闇夜のフェンリル隊は、今まで全く関係はなかった筈だ。
それがこうして隊長同士で話をするようになったのは、ラルと親しいというのが最大の理由だろうな。
ゲラートが俺の送ったラルからのメッセージを見たのかどうか
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