第5章:幽世と魔導師
第167話「戦いの果てに」
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「っ、はぁ、はぁ、はぁ……!」
放たれる霊術の炎が妖を焼き尽くす。
しかし、今まで放ってきた霊術よりも、力がないように見えた。
「くっ……」
『姉、さん……』
「……葉月、もう少し、耐えれるかい?」
『……はい……!』
いくらそこらの妖には絶対に負けない実力があるとはいえ、紫陽の体力も無限じゃない。
何より、葉月の肉体が耐えられないため、激しい霊術行使は難しくなっていた。
「……大丈夫か?」
「……何とか、ね。あたし本来の体ならともかく、現代を生きる葉月の体じゃ、負担が大きすぎる。あんた達の戦力を全て守護者の方に投入したい所だけど、あたしだけじゃもう抑えられそうにない」
「……わかっている」
紫陽の様子に気絶から回復していたクロノが心配する。
「しかし、貴女が守護者と戦っていれば、戦況はマシになっていたんじゃ……」
「……ふむ、確かにそれも一理ある。けど、万が一あたしがやられたら、その時点で幽世も現世もおしまいさ。二つの世界の均衡が崩れたら、何が起こるかわからないしね。……それに、何も守護者を倒す事だけが解決法じゃない」
「どういう事だ……?」
ずっと倒す事を目的としていたクロノは、紫陽の言葉に首を傾げる。
「倒す。それは確かに一つの解決方法だ。悩む必要もないし、手っ取り早い。だが、それが出来ない場合をあたしたちは想定していたんだ。犠牲になるものが多いが、倒せなかったとしても解決できるように手段を揃えてきた。……現代の現世に、江戸の時程の実力者がいないからね」
「……」
「あの守護者は、かつて幽世の大門を閉じた陰陽師の姿をしているが、本人ではない。本人は力を削がれ、幽世にいる。人格や思考も存在しているようだが、あれは力が形を成して動いているようなものだ。……そして、本人……とこよが幽世から干渉すれば、それだけで守護者は倒せる」
「犠牲が多い……と言うことは、その干渉が終わるまでかなり時間がかかる、と?」
「理解が早くて助かるよ。まぁ、その通りだな」
紫陽の言葉から、もう一つの解決法を知るクロノ。
「だから、死なない程度に時間を稼ぐだけでもいいんだ。倒した方が無駄な犠牲もないが、あいつは守護者になるだけあってとんでもなく強いからな」
「それは……まぁ、同感だ」
一気に全滅させられた際の絶望感を、クロノは覚えている。
霊力関係に疎いクロノでも、守護者の実力が一線を画しているのはよくわかっていた。
「そら、頭と手を動かせ執務官。正念場はまだまだ続くぞ」
「……ああ」
紫陽にそう言われ、クロノは改めて気を引き締
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