第六十二話 伊勢の巫女その六
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「神聖かつ峻厳な空気に満ちています」
「そうした場所か」
「はい、そして」
良太はさらに話した、この島の伊勢のことを。
「様々な場所があります」
「中には」
「一つではありません、社全体が山の様で」
「その中にじゃな」
「多くの建物があるのです」
「成程のう」
「この世界でも天照大神を祀っています」
日本神話において最高神とされるこの女神がというのだ。
「そうなっています」
「そうなんじゃな」
「はい」
まさにというのだ。
「そうした場所です」
「そうか、じゃあな」
「そのお伊勢さんの中にですね」
「入るぜよ、そして神様を感じ取らせてもらうぜよ」
ここでは真面目な顔で言う当季だった。
「そうさせてもらうぜよ」
「そうされたうえで」
「そしてぜよ」
まさにと言うのだった。
「そのうえで」
「巫女の方ともですね」
「早く会いたいぜよ、どんなおなごかのう」
「そのこともあって」
「ああ、早く入りたいぜよ」
「食べることばかりじゃないっちゃね」
愛実は当季の今の言葉に感心する様にして言った。
「そうっちゃな」
「わしとてぜよ」
「食べることばかりじゃないっちゃ」
「そうぜよ」
まさにというのだ。
「そのこともあるぜよ」
「それでっちゃな」
「お伊勢さんのこともあるしのう」
「巫女さんのこともっちゃな」
「考えているぜよ」
しっかりと、とだ。当季は言葉の中にそうしたものも入れてそのうえで愛実に話した。
「ちゃんとのう」
「そうっちゃな」
「この世界のことも考えているぜよ」
翻ってというのだ。
「そうしてるぜよ」
「そうっちゃな」
「それでじゃが」
当季は抹茶を飲んでから愛実に再び話した。
「ここのお茶は随分飲まれておるのう」
「安いし皆飲んでるっちゃな」
「そこぜよ」
当季は愛実にまさにという口調で返した。
「安くて皆飲んじょる」
「お茶をっちゃな」
「これはそれだけお茶が作られてるってことぜよ」
その葉がというのだ。
「それで安くて沢山飲めるぜよ」
「このこと大きいっちゃな」
「そうぜよ、お茶がこれだけ飲めるっちゅうことは」
「茶畑も沢山あるっちゃ」
「それで産業になっちょるぜよ」
「これはいいことっちゃな」
「全くぜよ、お茶は美味いきに。そして」
さらに言う当季だった。
「そのお茶が沢山飲める素敵な場所ぜよ」
「はい、お茶は長い間非常に高価なものでした」
謙二がここで言ってきた。
「中国でもそうでした」
「そうだったのう、確か」
「普通に飲めるどころか」
「それこそ王侯貴族の飲みものだったぜよ」
「はい、まさに」
謙二は当季に即座に答えた。
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