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戦国異伝供書
第二話 百姓の倅その四
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「ではな」
「はい、そのことも含めて」
「身を立てるぞ」
「お励みあれ」
 笑顔で言ってだ、秀長は今は兄と別れ家に帰った。そして羽柴は織田家の仕官している者を求めているところに行ってだ。
 仕官を申し出た、するとその仕官を受け付けていた柴田勝家が彼の顔を見たその瞬間にこう言ったのだった。
「お主猿そっくりじゃな」
「ははは、よく言われまする」
 木下にとってはよく言われ自分でも言っているのであっさりと笑って返せることなので実際にそうした。
「そのことは」
「そうか、それで当家にか」
「仕官したいのですが」
「わかった、それで身分は」
「百姓の倅です」
 木下は柴田にありのまま答えた。
「今は針を売って暮らしております」
「そうか、生まれは尾張じゃな」
「左様であります」
「言葉の訛りがそうであるしな」
 それでこのことはすぐにわかることだった。
「それはわかるわ」
「はい、清州の殿様の噂を聞きまして」
「うつけとでも言うつもりか」
「いえ、何でも随分とよい政をしておるとか」
 自分の目で見たことからもだ、木下は柴田に答えた。
「清州の周りで」
「それを聞いてか」
「しかもそれがしの様な身分の者でも功があれば取り立ててくれるとか」
「わしにしろ織田家の家臣じゃが元々は偉くないぞ」
 柴田は木下に自分のことも話した。
「しかし殿は家老に取り立ててくれておる」
「確か弟君の」
「そのことも知っておるか、お主」
「はい、尾張にいますので」
「そうか、わしのことも知っておるか」
 先に名乗っていたのでそこは抜いた、柴田はそのうえで木下に述べた。
「お主耳がよいのう」
「しかし忍ではありませぬぞ」
 他の国からのとだ、羽柴はそこは断った。
「かつて今川氏にお仕えしていましたが」
「それを自分で言うか」
「いけませぬか」
「それを言ったら仕官出来ぬぞ」
 柴田は木下が今川家に仕えていたことを注意した。
「下手をしたらな」
「いえ、お仕えするなら事前に全てです」
「話しておきたいか」
「隠しごとをしていて後でばれますと厄介なので」
「今全て話してか」
「そのうえで雇って頂けるかどうかを決めて頂きたいのです」
「左様か、まあ身体も小さいし力もなさそうじゃが」
 柴田は木下のその体格も見て述べた、自分とは正反対のそれを。
「どうかのう」
「よいであろう」
 これまで黙っていたもう一人の家老が言ってきた、平手正秀だ。
「見たところ切れ者であるしな」
「だからでありますか」
「殿は来る者は拒まずじゃしな」
「では」
「足軽でも何でもな」
 その立場でもというのだ。
「雇っておこう」
「そうですか、では」
「うむ、雑用の者も手が足りぬし」
「そうした役におい
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