永遠ならざる
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盟の中ではびこることになる。
先日、父親と電話した時にも感じたことを思い出す。
カプチェランカの時は驚いたようであったが、それでもいまだに息子が死ぬとは思っていない。そして、それは父が馬鹿なだけではない。誰もがそう感じている――いや、感じたいからこそ楽天的になり、結論として帝国には負けないと思い込む。
フェザーンを入れてぎりぎり互角といった戦力差を見れば。いや、艦隊総数が圧倒的に少ないことを見れば、わかるようなものであるのだが、それを認めたくはないのだろう。
父が、夫が、子供が、死地に向かうなどと。
原作を読んでいた時は単純に馬鹿だと思った帝国領の侵攻作戦。
単純に馬鹿というには、あまりにも難しい。
その辺りをヤン達は読み違えたのだと思う。
軍人的思考と市民の思考の乖離を考えていなかった。
家族が死ぬとは誰だって思いこみたくない。
だからこそ、市民は問題なく、勝てると思い込もうとする。
それが愚かと切り捨てられるものではない。
イゼルローンの戦闘記録を再度流しながら、アレスは紙コップを握りつぶした。
当初、アレスは帝国侵攻作戦を防ぎ、クーデターを防止して、帝国の内乱に介入すれば生き残る時間は作れるのではないかと考えていた。
戦力差を広げず、帝国の内乱に乗じて数を少なくする。
だが、自由惑星同盟で生きて実感するのは、帝国侵攻作戦は、防ぐことはできない。
ならば、どうするか。
画面で光るトールハンマーを目にしながら、アレスは思考を続けていった。
+ + +
アレスは、現在まで極力歴史を変えずに来たつもりだった。
極力というのは、絶対ではないからだ。
カプチェランカで帝国から防衛したのも、あるいはワイドボーンの行動も。
少しずつは変えてきているが、大きな歴史まで変えるのは防いでいるはずだ。
最もバタフライ効果といった蝶の羽ばたきがとまで言われたら、無駄なのだろうが。
そうなれば考えるだけ無駄なので、無視をしている。
ともあれ、もしアレスが大きく歴史を変えれば、そこからの歴史はアレスが全く知らないものになるだろう。
ならばと考える。
どのタイミングで歴史を変えるのが有用であるのかと。
当初は帝国侵攻作戦あるいはその前哨戦までは変えない方がいいのではないかと考えてきた。イゼルローンをこちらに手中に収め、ある程度の艦隊と戦力が残っていれば、互角以上の戦いができると。
こちらには、かのヤン・ウェンリーがいるのだ。
互角以上の戦力があるならば、簡単に負けることはない。
いや、帝国の隙を利用することができれば、銀河帝国正統政府を要して銀河帝国とも和解が可能となるかもしれない。最も、そうなればラインハルトとは完全に敵対することにな
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