永遠ならざる
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は一歩も踏み込んだことがなく、捕虜から得られる情報も大まかなものだった。
艦隊の待機場所から内部のモノレールで二十分ほどかかると書かれていた。
こういった情報に対して、目を皿のように見て調査している部署もあるらしい。
もしかするとヤンもそこに行きたかったのかもしれない。
端末の前で、データを流し読みしながらアレスは紙コップに入れた紅茶を一口する。
イゼルローンが建設されたのは宇宙歴767年。
それから二十五年の時を経て、過去四回のイゼルローンを攻略しようとして、全て失敗している。最初の一回は無謀にも正面からせめて、イゼルローンが誇るトールハンマーの餌食になっている。それでは足りないと、艦船数を増やしたのが第二次イゼルローン要塞攻略戦だ。
最も結論としては、第一回同様にトールハンマーで過半数の艦艇を失い、逃げている。
第三回、第四回とようやく策を考えるように放っているようだが、小さな策などトールハンマーには何ら意味ももたらさなかったらしい。第四回目に至っては、艦隊運動が明らかすぎるほどに鈍い。
おそらくは、イゼルローンという名前が同盟軍を恐怖に陥れているのだろう。
これが戦術シミュレーションであれば、動きが遅くなるなどありえない。
だが、これは実戦だ。
失うのはデータ上の数字だけではなく、何万という人員であり、その倍以上の家族が不幸になる。
それらを三度ほど繰り返し見れば、外は既に暗くなっていた。
もっとも今日は久しぶりに休暇をもらったため、特に問題はないのだが。
紅茶を飲み干して、アレスは苦笑する。
経験で知っているのと、実際に目で見るのは大きく違う。
たったの一撃で、数千もの艦隊が失われるのだ。
それも連射こそできないものの、時間を少し開ければ再発射ができる。
見ている限りで、最低五回は発射が可能。
それ以上は、同盟軍が逃げ出しているため確認は不可能。
見れば見るほど、最悪な光景。
最も弱点がないわけでもない。
指で頬を撫でながら、しかしと思考を変える。
圧倒的な敗北というにも関わらず、自由惑星同盟の民間人はこれを見ていない。
だからこそ、簡単に要塞が攻略できると今でも考えているのではないかと思った。
敗北は知ったとしても、一瞬で数千隻が融解する光景は見ていないのだ。
これを見れば、諦めるという考えも浮かぶのであろうが。
無理だろうと思う。
その数千の中には、自分の父や夫、そして子供が入っている。
それに含まれなかったとしても、学校や会社の中には必ず一人や二人がいる。
そんな光景をモザイクなしで放映できるほど度胸のある報道局ないし、あったとしてもまず政治家が止める。
かくして、何ら意味のない自信が自由惑星同
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