暁 〜小説投稿サイト〜
ローゼンメイデン〜エントロースライゼ〜
第六話〜眠りの者〜
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、紫苑さん達を案内した。

ローゼンのアトリエは、今や僕の作業場になっている。ここには彼が使っていた道具や錬金術などの本が所狭しと置いてある。もちろん片付けはした、だが物が多すぎる。しかもどれもが使い道がありそうで一つを手に取ると読みふけってしまうのだ。結果、物を奥にしまうことが出来ずに歩く道だけを確保している状態だ。
そんな中、唯一整頓された作業台。持ってきた石とローゼンの本とを照らし合わせる毎日をこの大きな木製の作業台で過ごしている。
そしてその横のいつも目の届く所に真紅を寝かせている。
いつ、起こせるのだろう。僕自身、起こせると思っている。これまで何度彼女の目を覚まさせたのだろう。でもこれは今までのどれとも違う、今の彼女は限りなく...やめよう。
どうも自分は根っからのネガティブらしい、希望は見えている、紫苑さんの『力』やドール達、本当に少しずつだけど前に進んでるんだ。

「彼女が、真紅ちゃんだね?」

「はい...何か分かりそうですか?」

「試してみるよ。」

そういうと紫苑さんは真紅のところまで行き、祈るように手を組んだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕には何が出来るのだろう。本当に、僕には何も無かった。めぐが死んだその日から。いや若しかしたら、もっと...ずっと前から。
でも、何も無い僕にめぐから託されたこの力はきっとこのために使うべきなのだと思う。
少しだけコツが分かった。無意識というか空っぽというか、自分を中身のない器にするイメージだ。なるほどそれなら自分にはやりやすい。
そして、すぅっと体に風が通る。

「うわ!」

ジュンくんの声だ。何があったんだろう。でももう僕は止められない。風がどこまでも吹いてゆく。
風が止んだ。静寂が僕を包みこみ、孤独が僕を浮かせてゆく。
孤独?
辺りに人の気配を感じなくなった僕は不安から目を開いた。恐ろしさからゆっくりと。

「……?」

そしていつの間にか真っ白になった空間に立っていた僕の前には

「真紅……?」

燃えるような、それでいて儚げな紅いドレスを纏う金髪のドールが立っていた。


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